館長挨拶私は2015年4月から前館長の津曲敏郎先生の後任として北海道大学総合博物館館長を拝命しました。この場をお借りして就任のご挨拶と抱負を述べさせていただきます。

当館は1999年に設立して16年が過ぎました。現在では、300万点を超える学術標本・資料を有し、大学博物館として屈指の規模を誇るようになりました。それだけではなく、当館では、全人教育を担う「ミュージアムマイスター」の育成や、標本・資料の準専門家としての「パラタクソノミスト養成講座」、そして標本整理や展示解説などへの多くのボランティアの参画など、学生や教職員だけではなく市民にも開かれた博物館を目指してきました。これらのユニークな博物館活動も高く評価されるようになっています。そして2014年7月には、入館者数が100万人を超えました。これまでの16年を振り返ると、当館は大学博物館として順調に歩んできたと言えるでしょう。これというのも歴代の館長、専任のスタッフ、学生・大学院生、そして多数の博物館ボランティアの皆さんの努力の賜物であります。あらためて、私は大学当局および関係各位に敬意を表します。

2014年度から開始された博物館棟の改修工事は2015年度から最終段階を迎え、2015年4月に博物館は全面休館となり、2016年7月頃にリニューアルオープンする予定であります。また函館キャンパスにある水産科学館においても、2015年度に老朽化した生物標本館の新営工事を開始し、札幌キャンパスと同時期の2016年度には完成予定です。ということで2015年度は博物館としての活動は縮小ということになります。しかしながら、札幌キャンパスの総合博物館棟のリニューアルオープンまでの1年余りの期間は、これまでの16年間の歩みを振り返り、今後の大学博物館のあり方を考え、次のステージに進んでいく意味で、我々にとって非常に重要な時期であると考えます。

開館してからの15年間、大学が置かれた環境は大きく変わりつつあります。特に2004年に始まった大学法人化以降、各大学が個性的な教育・研究理念を掲げ、独自の経営戦略を持つことが求められています。つまり国立大学の多様化と機能分化、そして個性が本当に試される時代になってきたと言えるでしょう。もちろん大学、あるいは社会がどのように変化したとしても、学術標本・資料の収集・保管、そして次世代への継承という博物館の基本的な使命は変わることはありません。しかしこのような社会の変化の中で大学博物館のあり方も変化すべきであると考えています。このような状況を鑑み、当館ではリニューアルにあたり、北大ブランド発信のさらなる強化を目指します。まず全学部・研究機構の教育・研究成果を紹介するブースをこれまで以上に充実させる計画です。また北大で推進している産学官連携の教育・研究成果の紹介にも力を注ぎます。同時にリニューアルでは、多目的スペースや講演ホールの整備を図り、博物館ボランティア活動や社会学習をこれまで以上に活発に展開していきます。

北大は広大で、四季折々で姿を変える美しいキャンパスを持ち、1年を通じて多くの市民や国内外からの観光客が訪れています。当館はそのキャンパスの中核にあります。そのような環境で北大ブランドを発信できるということは、他の大学博物館にはない、我が総合博物館の強みであると考えています。2016年7月のリニューアルオープンでは、その強みを最大限に生かした、魅力ある北海道大学総合博物館を皆様にお披露目できるよう、スタッフ一同万全の努力をいたします。皆さんのご指導・ご声援、よろしくお願いします。

中川 光弘
(館長・理学研究院教授/火山学・岩石学)