2016年7月、北海道大学総合博物館は、耐震化改修工事による1年余りにわたる全面休館を経てリニューアルオープンしました。現在、常設展示には、札幌農学校以来の本学歴史を展示する“北大の歴史”、北大全12学部の教育・研究と世界に誇る挑戦的な研究内容を紹介する“北大のいま”、博物館バックヤードの一部を見せる“ミュージアムラボ”、標本を実際に手にとることができる“感じる展示室”、約300万点の標本・資料の一部を公開する“収蔵標本の世界”があり、これに加えて、様々なテーマによる“企画展示”が期間限定で開催されています。運営は、専任・兼任教職員の他、60名程の資料部研究員、300名程のボランティアスタッフらに支えられています。入館者は年々増加し、2018年度には年間22万人を超えるに至りました。

教育面では、本学学生への講義・演習の提供、博物館独自のミュージアムマイスターコースの実施等の高等教育はもちろんのこと、セミナー、ワークショップ、パラタクソノミスト養成講座等の開催など、市民への生涯学習支援も積極的に行っています。また、札幌キャンパス内の北18条に位置する、国の重要文化財である札幌農学校第2農場は、2015年3月に耐震化改修工事を終え、函館キャンパスにある水産科学館の水産生物標本館が、2016年2月に竣工するなど、近年、総合博物館本館以外の施設改善にも積極的に取り組んできました。

本総合博物館は、本学学生・教職員だけではなく、地域住民、北海道を訪れる国内外からの来訪者にとって、すでに欠かせない存在になっていると言ってもよいでしょう。とはいえ、わが国の国立大学運営にかかる財政は、年々厳しさを増しており、北海道大学をとりまく状況もその例外ではありません。2018年3月に策定された「北海道大学キャンパスマスタープラン2018」では、本学札幌キャンパスがもつ歴史・自然資産の継承と積極的な活用、さらに学術資料の資源化・アーカイブ化の充実、ならびに本総合博物館を核とした学術資料保存・研究機関のネットワーク化を目指した“キャンパスミュージアム計画”を掲げていますが、その実現には、大学内での工夫や努力だけではなく、広く民間・行政機関と連携した取り組みが不可欠です。

1999年4月に開館した本総合博物館は、本年をもって創設20周年を迎えます。また、本総合博物館がある旧理学部本館は、1929年11月に竣工した歴史的建造物で、本年で築90年を迎えます。この記念すべき節目の年にあたり、先端の研究・教育を行うわが国の基幹大学として、地域に根ざした地方大学として、北海道大学の顔となる総合博物館のふさわしいあり方を求めて、広く学内外の皆様と協働しながら、スタッフと関係者が一丸となり、一層の努力を積み重ねていく所存です。

2019年4月

小澤 丈夫
(総合博物館長・工学研究院教授 /建築デザイン学)