研究内容の概要

紅藻ソゾ属および近縁属の系統分類学的研究と化学成分研究

広義ソゾ属(Chondrophycus, Laurencia, Laurenciella, Osmundea, Palisada,Yuzurua)の系統分類学的研究を、形態形質に加えて分子系統、培養実験、成分分類学的手法を用いて進めている。また、ウラソゾの種内分化(ケミカルレース)における個体群構造について、分子系統学的手法を用いて解明を進めめた。

北方コンブ類の系統分類学的研究

資料部との共同研究として、サハリン・カムチャツカおよび日本産の材料を用い、北方コンブ類の系統分類学的研究を進めている。

日本及び東南アジア・極東ロシアの海藻相に関する研究

上記の2群に限らず東南アジアから日本を経て極東ロシアに至る北西太平洋の海藻相についての研究をおこなっている。

日本海における寒冷適応進化・多様化に関する共同研究

日本海をはじめとする縁海で、氷期に分断された海域で寒冷適応化・種分化が生じ、次の間氷期に北方の寒冷海域に進出するという「日本海多様化工場説」を、神谷隆宏教授(金沢大)が貝形虫の研究から提唱した。この説を海藻類において検証する共同研究をおこなっている。

標本に含まれる放射性同位体に着目した共同研究

数十年から百年以上前に採集された海藻標本が多数収蔵されている当館の特徴を活かし、磯焼け現象が見られる前の時代における窒素源の推定や、核実験以前の本来の沃素同位体比の推定など、分類学以外の分野に海藻標本を活用する共同研究をおこなっている。