コレクションの概要

ガ類生態標本

ガ類生態標本

明治29年、札幌農学校に日本最初の昆虫学教室が松村松年(1872-1960)によって開設された。以来、歴代の教官・学生により日本の昆虫学・昆虫分類学の基となった標本類が蓄積されてきた。現在、総数約200万点に及ぶ。特に新種・新亜種・新型記載に用いられた標本が10,000点以上も含まれており、学名決定の基準となるこれら「タイプ標本」調査のため、現在も世界各国からの研究者の来訪が絶えない。また内外の主要な昆虫分類学研究機関への標本貸し出しも頻繁であり、アジア地区の昆虫標本コレクションの拠点となっている。

特徴

近年では、極東アジア(千島列島国際調査)・東南アジア(インドネシア・マレーシア・フィリピン・台湾との共同調査)・南アジア(インド・ネパール生物調査)において採集された膨大な標本群が新たに収蔵されている。また100年以上にわたる標本管理・保存の実績から、重要分類標本の収蔵機関として評価が高く、国内の貴重な学術標本の寄贈を受けることも多い(2000年には甲虫類標本「中根コレクション」約17万点受入れ)。これらコレクションの歴史と伝統、さらに近年の成長は、まさに日本の昆虫学・昆虫分類学そのものといえる。

代表的なコレクション

<松村コレクション:ジェネラル・コレクション:甲虫>

680箱127,208個体 松村コレクション

松村コレクション(コウチュウ目ジェネラル・コレクション):クワガタムシ科

松村コレクション(コウチュウ目ジェネラル・コレクション):クワガタムシ科

松村松年によって記載された甲虫類は24種(日本産のみ)が数えられる。松村が記載した全昆虫(約1100種:日本産のみ)からみると少ない数である。北大昆虫学教室において最初に甲虫類の専門家として研究にあたったのは河野広道であった。昭和5年から、河野は農学部の助手として採用され、広範にわたる甲虫類の分類研究を行っている。同時期に、三輪勇四郎(コメツキムシ科など)、太田勇愛(テントウムシ科)、土井久作、玉貫光一が甲虫研究者としてコレクションを充実させている。これらの研究者は、卒業後、台湾(台北大学-三輪)や樺太(農事試験場-土井・玉貫)の研究機関に奉職しているため、台湾・樺太・千島産の標本が多く北大にもたらされ、台湾や北方圏の貴重なコレクションが形成されている。

<中根コレクション:甲虫全般>

印籠中・小型952箱、167,124個体

ムネアカオオキバハネカクシ Oxyporus rufus osawai (Holotype)

ムネアカオオキバハネカクシ Oxyporus rufus osawai (Holotype)

2000年3月に中根猛彦博士の遺族から北大農学部に寄贈されたもので、小型印籠桐箱で952箱、167,124個体、約800種のタイプ標本を含む国内有数の甲虫コレクションである。2003年に総合博物館に移動となる。「中根コレクション」は「鞘翅目コレクション(ジェネラル・コレクション)」と区別して収蔵されている。

 

<田中コレクション:甲虫全般>

印籠中型328箱、53,259個体

コウチュウ目(ミツギリゾウムシ科)

コウチュウ目(ミツギリゾウムシ科)

2000年3月に北大農学部名誉教授 田中明博士から寄贈されたもので、小型印籠桐箱で328箱、53,259個体を含む甲虫コレクションである。世界各地から採集された標本からなり、田中博士自身による種までの分類整理がなされているが、種名の確定されていないものが多く、今後分類研究が必要である。「田中コレクション」は「鞘翅目コレクション(ジェネラル・コレクション)」と区別して収蔵されている。

<久万田コレクション:ホソガ科 Kumata collection>

117箱、約35,000

個体

1997年に農学部を退官した久万田敏夫博士が研究したホソガ科(Gracillariidae)の標本群。北大式標本箱で約117箱が収蔵されており、同時にホストである植物標本と交尾器等のスライド標本がセットになる。ホロタイプ標本186個体(パラタイプ標本多数)が含まれる。
ホソガは潜葉性昆虫(葉潜り)であるためホスト植物ごと採集され、飼育の後、成虫の標本を作製することが多い。したがってこの飼育過程と分類研究によって、ホスト植物標本・幼虫標本(脱皮殻)・成虫標本・交尾器標本が作り出され、他の昆虫群では考えられないことであるが、昆虫の全生活史がほぼ完全に標本化されることになる。現在、久万田博士は総合博物館のボランティア研究員として、週2回標本作製・研究に従事されている。頻繁に活用され、研究が継続されている標本群の一つである。

ベニホソガ Macalostola japonica Kumata (Holotype)

ベニホソガ Macalostola japonica Kumata (Holotype)

<SEHUコレクション:メタデータ>

北大総合博物館に寄贈された昆虫標本について、寄贈者別にコレクション名をつけ、寄贈時の標本状態の写真、箱ごとの目、科、個体数をつけたものをメタデータとして整理し、随時公開していきます。

小松コレクション