コレクションの概要

古代、日本列島の北端・オホーツク海南西岸には、高度な海洋適応を遂げたオホーツク集団が暮らしていた。総合博物館では、この紀元後5-12世紀ころにサハリン南部から北海道北部-東部、千島列島南部の沿岸地帯に展開した海洋民のオホーツク文化の資料を主に収蔵・展示している。
これは、北海道大学文学部付属北方文化研究施設が継続的に調査・研究をおこなってきた礼文島香深井1遺跡と元地遺跡、稚内市オンコロマナイ遺跡、枝幸町目梨泊遺跡の資料を中心とする。

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[石崎幹男氏撮影]

特徴

数百年にわたって形成された香深井1遺跡の遺物包含層の資料を分析し、この文化の時間的変化をとらえ、道北を中心とした編年の枠組みを提示。また遺物投棄の方向性と住居の位置関係などをもとに、集落の規模と構成を推定。さらに、食料残滓である動物骨の分析によって漁労・狩猟の季節性をとらえ、他の遺跡のデータとの比較から、香深井1遺跡など冬季中心の母村集落と夏期中心のキャンプの存在を推定。これらを組み合わせた領域をもつ地域集団、そして複数の地域集団からなる地方集団の把握、すなわち社会組織の復原に成功。また、クマを中心とした動物信仰と儀礼、大陸および日本列島内地との交易などによる交流などの解明が進んだ。