概要

昭和5年理学部が設立され、その中に旧地質学鉱物学教室(現自然史科学専攻地球惑星システム科学分野)が開設されて以降、歴代の教官・学生により国内外より膨大な標本類が収集・蓄積されて来た。現在、その総数は約70,000点以上に達し、それぞれ岩石・鉱物・鉱石分野に分類整理され、総合博物館の地学系(岩石・鉱物・鉱石)標本庫に収蔵されている。現在もそれらの整理作業は継続されているが、整理済みの標本は随時標本棚に収蔵されると共に、データベース化が進められている。これらの収蔵標本類は国内外の関係研究者に広く公開され、実験研究用標本として提供されると共に、博物館における展示標本や教育用標本としても利活用されている。

特徴

収蔵されている岩石・鉱物・鉱石標本類の中には、様々な理由から現在ではほとんど入手不可能な千島列島や北朝鮮産の貴重な岩石・鉱物・鉱石標本類も含まれている。また、北海道ではライマン標本に次いで二番目に古いとされる札幌農学校卒業生等により収集された地質標本コレクション、国内の全ての産地から採集され全試料の化学分析データも揃った黒曜石標本、北海道産新鉱物(タイプ標本)や鉱石類も収蔵されている。また、工学部より寄贈された北海道内の既に閉山された各鉱山産の鉱石・変質母岩類も収蔵されている。また、最近国際的にも大きな話題となっているレアメタル・レアアース鉱石標本類も多数収蔵管理され、今後もこれらの標本類が研究・教育に大いに利活用されて行くと期待されている。

<カムチャツカ金属資源>

カムチャツカ半島には、金、銀、白金属元素、銅、鉛、亜鉛、ニッケル、クロム、モリブデン、錫、タングステン、水銀、硫黄、石油、天然ガス、石炭および泥炭、地熱エネルギーなどの未開発で多様な地下資源が多く存在する。総合博物館に所蔵されているカムチャツカ半島産の鉱石・地質標本のデジタルアーカイブ化を行ったが、一部には参照情報としてロシア沿海州、千島列島、ウラル地域産の鉱石標本のアーカイブスも含まれる。データベースはホームページより公開中。

カムチャッカ半島における火山と金属鉱床の分布

カムチャッカ半島における火山と金属鉱床の分布

<黒曜石標本>

鳥取大学名誉教授が研究対象とした黒曜石コレクション。全国のほぼ全ての産地のものが集められ、全岩分析地及び微量元素分析値もそろった貴重な標本である。それらのデータベースも有り、岩石学的のみならず考古学的にも貴重な標本群である。

<渡辺武夫コレクション>

元東京大学鉱床学講座教授の渡辺武夫が北大在職時代に収集したコレクションで、特に北朝鮮(逐安鉱山等)、札幌市手稲鉱山を始めとした現在では入手不可能な貴重な標本群である。現在、標本整理がほぼ終了し、データベースの作成作業に入る予定である。

<千島岩石標本>

戦前の北大を中心とした地質調査グループが採集した約1,000点余りの岩石・鉱物等の地質標本群であり、現在では特に入手が困難な鉱石が多数含まれている。データベース化も完了している。

千島(クリル)列島における資源分布

千島(クリル)列島における資源分布

<鉱物標本>

北大理学部旧地質学鉱物学教室の鉱物学講座スタッフが中心となって収集した国内外の鉱物標本群であり、特にマンガン鉱物・鉱石及び北海道産鉱物標本が秀逸である。データベース化も完了しており、ホームページより公開中である。

日本式双晶(南米ペルー産)

日本式双晶(南米ペルー産)

保存

今後の展望

  • 現在、収蔵整理が進行中の博物館所蔵岩石・鉱物・鉱石標本のデータベース化作業と印刷出版作業を進める。
  • 標本の付加価値を高めるため、各種分析装置(光学顕微鏡、X線回折装置、EPMA分析装置等)を用いた所蔵標本の室内分析とデータ解析を行い、それらの成因や生成条件の考察を行う。
  • 近未来に予定されている展示リニューアルに向けた展示用標本の選別と整理作業を進める。
  • 教育用標本の選別・整理とそれらの利活用に向けたカリキュラム案を策定する。