概要

博物館と社会の関わりについて考察し、博物館の教育プログラムのあり方や、展示を含めた諸活動の評価に関する研究を行う。博物館における資料の収集・調査・研究・展示・教育などの諸活動を、来館者とのコミュニケーションという観点から考察する。また、博物館の新しい姿、活動を導くために、博物館と博物館を取り囲む社会の文化資源を新しい視点で再組織化する研究を行う。大学博物館の資源を活かした実践的な研究・教育を行い、新たな視点で博物館と社会をつなぐ学芸員やエデュケータとしての役割を担う人材を育成する。

テーマ

博物館体験の長期的インパクトを検証する研究
日本ではまだ体系的に実施されていない博物館における体験が人々に与えるインパクトを長期的に評価する研究に取り組む。人々の記憶に残る博物館体験を調査し、その記憶を続く世代へとつなぐための博物館活動の展開方法を研究する。認知面での学習効果にとどまらない博物館体験の多様な意味を明らかにすると同時に、博物館活動の意義を検証し、博物館資源を生かした活動への提案を導くための研究でもある。

研究風景

研究風景

大学博物館における複合教育プログラムの評価に関する研究
大学博物館独自の資源を生かした「複合教育プログラム」に注目した研究を行う。複合教育プログラムとは、博物館の活動の様々な局面に学生を関与させて教育し、その学生が博物館活動の担い手として来館者とコミュニケーションすることにより更に学習を深化させ、学生と来館者双方に教育的な意味を持つ実践的な教育プログラムである。大学博物館ならではの学生教育とは何かを探り、更にその学生教育の意義をいかに評価すればよいかを検討する。これにより、大学博物館の存在意義を明確にし、今後の活動指針を探り、更に博物館創設を検討している大学への一助となることを目指す。

新しいミュージアム像に関する研究
博物館の新しい姿、活動を導くために、運営体制の見直し、コレクションや人的資源の流動化、来館者・非来館者との関わり、異分野との協働など、博物館と博物館を取り囲む社会の文化資源を新しい視点で再組織化する研究を行う。

今後の展望

大学博物館の資源を活かした学生教育を展開しながら、教育プログラムや展示を含めた諸活動の評価について研究を進め、博物館と社会の関わり、社会における博物館の存在意義を考察して新しい博物館活動を展開する実践的な研究を展開していきたい。博物館活動の本質を評価する方法として、入館者数や教育プログラムの実施回数などではなく、博物館を訪れた人々にとっての博物館体験の意味を明らかにする方法を探求していきたい。また、博物館と博物館を取り囲む社会の文化資源を新しい視点で再組織化して、新しいミュージアムの姿を描いていきたい。