医学標本の世界では解剖学的ロウ製皮膚病模型のムラージュを展示しています。

ムラージュ(moulage)とは「型による成形」という意味のフランス語です。ロウを用いた模型の起源はエジプトの副葬品(紀元前3500年頃)に、人物模型としての起源は同じくエジプトのデスマスク(紀元前2000年頃)に遡ることができます。本格的な解剖学的ロウ製模型は16世紀に始まりますが、その中でもロウ製皮膚病模型は最も盛んに作製され、現存するムラージュの殆どは皮膚ムラージュです。しかし、皮膚ムラージュの作製には多大な労力と財力を必要としたため、多数を保有できたのはごく一部の大学や病院に限られました。症状の記録や医学教育に盛んに利用された皮膚ムラージュは精巧を極め、芸術の域にまで達しました。カラー写真の登場により役目を終えたムラージュですが、その作製方法が秘伝であったため、現在では修復も不可能です。医学的にも歴史的にも芸術的にも極めて貴重である皮膚ムラージュをご覧ください。