【5月13日】GCOE第5期成果展示「言葉は境界を超えて」開幕

2011513日 グローバルCOEプログラム「境界研究の拠点形成」第5期成果展示「言葉は境界を超えてーロシア・東欧の作品と世界」前半展示「ロシアの作家と境界」展開幕にあたり、オープニングセレモニーを開催しました。

   津曲敏郎総合博物館館長から挨拶、展示企画者の一人であるスラブ研究センターの井上暁子研究員から展示趣旨の説明が行われた後、望月哲男スラブ研究センター長を交えてテープカットが行われました。

 

          

     展示趣旨説明をする井上研究員               望月スラブ研究センター長を交えたテープカット

 

国境の変化や亡命など、社会的環境の変化で母語以外の言語で創作活動を続けることとなった作家達の言葉に対する向き合い方に焦点を当てた展示です。前半展示では、ロシアの作家であるウラジーミル・ナボコフ、詩人ゲンナジイ・アイギを取り上げています。 

 

ナボコフは、「ロリータ」で知られるバイリンガル作家ですが、蝶の分類学者でもありました。テキスト中には蝶のモチーフが頻繁に登場します。今回は、ナボコフに縁のある蝶の標本や自筆の蝶の絵を展示しました。故郷・ロシアに対する彼の思いを託した蝶も展示しています。

 

                            

                ナボコフ自筆の蝶の絵                       ナボコフ縁の蝶の標本 

 

 

またもう一人のゲンナジイ・アイギは、チュバシ民族出身のロシアの詩人です。ソ連時代は国内情勢から出版ができず、国外での出版を通じて名を広めた詩人です。ロシア語とチュバシ語の両方で創作を行ってきました。文芸誌や新聞に掲載された詩や、アイギ自身による詩の朗読、そしてチュバシ、ロシア、ヨーロッパ文化をどのようにアイギ自身の中で消化・融合するに至ったのかを語る貴重なインタビュー映像を展示しています。

 

            

                アイギの詩  

 

異なる言語で表現する2人にとって、それぞれの言語に対する考え方、またその言語を使用したときの彼ら自身の世界の捉える感覚の違いはどのようなものだったのでしょう?是非、展示を見ながら考えてみてください。