2020年度卒論ポスター発表会 発表者・運営スタッフの事後考察

2021年2月27日(土)~28日(日)に開催された2020年度卒論ポスター発表会で、ポスター発表をした学生と運営に携わった学生の事後考察を一部ご紹介します。

発表会当日の様子はこちらをご覧ください。

 

発表者

自分の研究を人に伝える貴重な機会、特に市民の方々と交流できる良い機会であるため、卒論ポスター発表会に参加した。

研究内容・意義などを掘り下げた部分については、普段からゼミの教授や先輩たちと切磋してきたが、それを「初めて話を聞く方々にどこまで・どのように伝えるべきか」については、中間発表を通して今まで気づかなかった意見を多く得られたと思う。

当日は、幅広い年齢層の方が想像以上にたくさん来場してくださった。そのため、用意してきた発表の仕方だけでなく、オーディエンスに合わせて言い回しや内容を少しずつ調整することで、大変ではあったが非常に生き生きした発表をできたと感じている。また、研究に興味を持っていただいた方々からは、研究内容に即した日常の体験・実際の海外での体験やアイデアを伺うことができた。

今後、今回の発表会を通して得られた価値ある新鮮な経験を、自身の研究の発展と発信に活かしていきたい。

石山 亜美(文学部 人間科学科 行動科学講座)

 

市民の方々に発表するこの卒論ポスター発表会において、私が意識して取り組んだことが、わかりやすく、研究のおもしろさを伝えることであった。「わかりやすい」発表にするために、同じレベルの内容は横一列に並べたり、同じ単語は同じ色に統一したりすることで見やすいポスターを心掛けた。さらに、発表の際は周りの聞き手によって話す言葉を変えたりした。また、「研究のおもしろさ」が伝わる発表にするために、私が一方的に話すのではなく、聞き手と対話をしながら発表した。例えば、私の研究は北海道大学学生寮の建築の変遷に関する研究であるが、建築図面の読み方をまず伝えた上で、図面から学生寮の建築の特徴を、聞き手側に発見してもらうことで本研究の面白さが伝わったのではないかと思う。

今回の発表において、市民の方々の鋭い意見をいただいたり、もっと話が聞きたいということで名刺をいただいた。本発表会を通じて、私の研究が大学の中だけでなく、より広い世界に還元できてよかったと感じている。

磯和 耕太朗(工学部 環境社会工学科 建築都市コース 建築デザイン学研究室)

 

スライド形式の発表では枚数に制限がないため思いのままに発表資料を作成できる。しかしながら、ポスター形式の発表では、一枚という制約の中で情報を取捨選択する必要がある。さらに、デザインや色彩バランス、見やすさ、わかりやすさについて熟考する必要がある。この条件下でのポスター制作は非常に大変で困難を極めたが、三回の中間発表を通して客観的かつ的確な意見をいただき、自身のポスターを洗練させることができた。

二日間に渡る発表会では、想定以上の市民の方々に発表を聞いていただくことができ嬉しく感じた。いかに聞き手を惹きつけることができるか、簡潔に研究の面白さを伝えることができるか、という思いで発表を行った。結果的に実力不足を痛感したが、自分にとって大きな経験となっただけでなく、今後の研究活動を豊かにする貴重な機会となった。

コロナ禍という厳しい情勢の中、発表会を成功させるために尽力してくださった教員、運 営スタッフの皆様、そして、発表を聞いてくださった審査員やミュージアムマイスター、市民の方々に心より感謝申し上げる。

大藪 隼平(理学部 地球惑星科学科)

 

卒論ポスター発表会に参加するにあたり、私は2つの懸念事項を抱きながら準備を始めた。「建築」という身近なようで馴染みのない分野の研究について市民の方々がどれくらい興味を示していただけるのかということ、「建築と生物」というテーマについて自分が取り組んだ内容が生物を専門にする方から見てどのように捉えられるのかということである。

しかし準備の段階から、先生や他の発表者に興味を持っていただき、助言をいただきながら自分の発表をブラッシュアップしていくことができた。

発表会当日は生物分野を専攻されている方から肯定的な意見をいただいたり、市民の方々から自分が思いもしなかった建築に関する視点を提示していただいたり、全く違う専門分野からの解釈をご教授いただいたりと想像以上に自分の研究に興味を持っていただいた結果となった。今回の卒論ポスター発表会に参加し、自分の展望を更に広げることができた。

髙橋 奈菜(工学部 環境社会工学科 建築都市コース 建築デザイン学研究室)

 

学術的なポスター発表をすることは人生で初めてであり、私は新たなことを始める際には2つのことを留意しているので、それを踏まえて書く。まず、新しいことを体得するためのルールを必ず探し、再現性を持たせることである。次に、その過程で得られた知見を自分の糧にしていくことである。今回の前提は、ポスター発表形式で様々なバックグラウンドを持った来場者の方々の目線に調整しながら、最大限優れた自己主張(アサーション)をすることであった。それを達成する方法は、実は体系的に存在していることが確認された。吸収した知恵を基に実践すると、数回に及ぶ修正を経ていく中で、特にデザインに関しては初稿とは見違えるものとなった。参考になる図書は、北図書館のアカデミックスキルコーナーに豊富に揃っているので、後輩達は是非活用してほしい。当日の発表は満足感は高くこそあれ、賞を逃してしまい、涙を流した。この悔しさと成長を糧に自身を高めていく。

田代 貴久(工学部 環境社会工学科 資源循環システムコース)

 

卒論ポスターの作成・発表はとにかく試行錯誤の連続だった。そして、やり遂げることができたのは、間違いなく支えてくださった全ての方々のおかげである。

準備期間中、参加者間での忌憚なき意見のやり取りが何度もおこなわれた。それらはポスターや発表に対するヒントを与えてくれただけではなく、自分の研究を振り返るよすがにもなった。専攻分野や学部の垣根を越えて共に活動することができたのは本当によい経験だったと思う。

また、この発表会を通してポスター作りにはおよそ2つの考え方があると思った。伝えたい内容をポスターのみでも伝わるように作るか、ポスターはあくまで発表の手助けになる資料だと考えて作るかの2種類である。今回はその両者の特長をバランスよく取り入れることに努めた。

いま改めて考えると、ポスターデザインや発表の仕方など「もっとこうすれば良かった」と思う点は多々ある。しかし、反対に言えばそう思えるくらいには強くなれたのではないかと感じている。

長谷川 健太(文学部 人文科学科)

 

卒論ポスター発表会の準備から本番を経て最も意識するようになったことは、自身の研究の内容を如何にして分かりやすく伝えるか、ということであった。同分野の方々に発表を行う機会はこれまでにあったが、今回の発表の対象は市民の方々や他分野の方々も含むため、共通して理解と交流ができるようにすることが必要であった。ポスターのデザインについて、整理した図表の作成、その中の凡例・項目毎の色や文字の大きさの統一は、中間発表会を経て改善することができた。しかし、ポスターに限らず、口頭の説明でも専門的な用語をより平易な表現にするという点に関しては不十分であった。この反省点から、発表の内容を初めて知る人が理解できる表現なのか否かの客観的な把握は非常に重要であると実感した。

発表の仕方についても、視聴者の興味を惹くように問いかけながら導く意識を持って進行することができた。ただ、他の発表の進行と比較すると、一度の発表の時間をより短く纏めて発表回数を多くできていれば、より多くの発表の機会を提供できたのではないかと再考した。

今回の発表会はこうした様々な気付きを得られた非常に貴重な機会となった。今後の発表の際には、これらの気付きを活かせるよう精進していきたい。

三嶋 一輝(理学部 地球惑星科学科)

 

私は1年生のころから卒論ポスター発表会の存在を知っており、自分が卒論を書く際にはぜひ参加したいと考えていた。しかし、実際に参加してみると、専門外の方、市民の方に自分の研究をわかっていただき、発表を楽しんでいただくのは想像よりも遥かに難しいことであった。中間発表会で多くの意見をいただき、なんとか迎えた発表会当日には、ポスターを見にきてくださった方から多くの質問や興味深い示唆をいただいた。今回の発表では、自分の研究をわかりやすく伝えるにはどうすればよいか、というコミュニケーションについてだけではなく、今後研究を進めるうえでも大変貴重な機会をいただいたと感じている。

今年度は新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、卒業研究を進めるうえでも、卒論ポスター発表会を開催するうえでも多くの障壁があったが、このような貴重な機会をいただいたことは本当に幸運だったと感じている。この会の開催に尽力くださった皆様に感謝申し上げたい。

和田 知里(文学部 行動システム科学講座)

 

運営スタッフ

コロナ禍で主に非対面による運営準備となり、相手の顔を見ずに円滑にコミュニケーションをとることの難しさを感じた。しかし、先生方に助言をいただきながらメンバーで協力することでポスターやリーフレットの作成、発表会当日の準備・運営等を反省点は多々ありながらも成し遂げることができた。他の学部・学年の方と協力する機会は少なく、オンライン授業によりさらに他の学生と協力する機会が失われているため、この発表会の運営に携わることで非常に良い経験をすることができたと考える。

発表会では発表者のポスターや話し方への様々な工夫が、来場された市民の皆様を惹きつけ、活発な議論が交わされていたことが印象に残っており、それらの工夫には目を見張る点が数多くあり、参考にしたいと思った。また来場された方とお話したり、発表者と来場者のやり取りを聞いている中で、自分が気付かなかった見方や考え方を発見することができ、「ヒト」と関わることの重要性を改めて感じた。このような機会があれば今後も積極的に参加していきたい。

荒岡 柊二郎(理学部 地球惑星科学科 1年)

 

卒論ポスター発表会2度目の運営として、今回はリーフレット作りと当日の場内案内に多く携わった。リーフレットの作成においては、ミュージアムショップやカフェ等一緒に博物館の活動を盛り上げてくださる館内施設の方に文章を依頼することや、運営スタッフの制作したリーフレットの文章の添削・アドバイス等を行った。文章と対峙することが多かった今回は、普段の学生生活におけるレポートの作成とはまた違った、不特定多数の人々にわかりやすい文章とはどのようなものなのかということに気をつけながら準備を行った。また、場内案内では展示を楽しんでいただくために、また話しかけすぎて相手が不快な思いをしないように、ということを自分なりの目標にして取り組んだ。

イベントが開催されることも難しいこの時勢下で8人もの発表者と5人の運営スタッフ、そして諸先生方や博物館のスタッフの皆様とでこのイベントを無事に終えることができたということが何よりも嬉しいことであった。また、想像以上に多くの方にポスターを見ていただくことができたことも、学問がまだ世間に取り残されていないということを肌身で実感することができたよい機会になった。

上村 麻里恵(文学部 芸術学研究室 3年)

 

大学博物館は大学の情報を発信する機関であるという特徴を考え、多くの方の関心をひいて適切な環境で参加していただくことを主要な目的として、ポスターのデザインと当日会場で配るリーフレットの表紙を制作した。先生方、研究支援推進員の方及び運営スタッフの意見を踏まえたことで、シンプルなデザインでより完成度が高いポスターと表紙を完成させることができた。

発表会で学生たちが自分の研究成果を市民に共有し、質問に答えて市民と積極的に交流する姿に感動した。また、広く社会の人々に向けての発表会の運営スタッフを務めたことで、博物館活動と博物館でのコミュニケーションへの理解が深まり、創造力を育む・好奇心を喚起するという観点から博物館の教育機能の面白さを感じとることができた。私は外国人として、事前打ち合わせや運営の際に言葉の壁を越えられないことがあったが、運営スタッフたちに助けていただき、先生にご指導いただき、準備や現場で直面した難問を解決できた。これからも、このようなイベントに参加し、コミュニケーション能力を鍛錬し、日本での研究と仕事で活かせる経験をさらに積みたい。

張 元昊(工学院 材料科学専攻 修士1年)

 

運営スタッフとして初めて卒業論文ポスター発表会に参加した。分からないことが多く、先生方やほかの運営スタッフにたくさんアドバイスをいただきながら作業を行った。発表者の中間発表に参加して驚いたのは、回数を重ねるほどわかりやすい話し方、わかりやすいポスターになっていったことだ。初めて聞く発表もとても面白かったが、一度聞いたことのある発表が、より分かりやすく改善されていく過程に感動した。

発表会当日、私自身、ゆっくりと発表を聞く暇がなかったのはとても残念だったが、スタッフがゆっくりする暇もないぐらい多くの方が訪れてくださったことがとても嬉しかった。また、発表学生が熱心に、かつ生き生きと発表している様子と、来場者が熱心に発表を聞き、積極的に質問をしている様子がとても印象的だった。

4年生が楽しそうに発表している姿を見て、3年後、自分がなりたい姿を見つけることができ、この活動に参加できて本当によかったと思った。運営スタッフとしてまだまだ未熟で至らない点もたくさんあったが、何かあるごとにアドバイスして下さった担当の教職員の皆さん、発表学生と運営スタッフの皆さんに感謝している。

村井 香穂(水産学部 1年)