2018年度卒論ポスター発表会 発表者・運営スタッフの事後考察

2019年3月2日(土)~3日(日)に開催された2017年度卒論ポスター発表会で、ポスター発表をした学生と運営に携わった学生の事後考察を一部ご紹介します。

発表会当日の様子はこちらをご覧ください。

 

発表者

自分の研究を分かりやすく人に伝える方法を学びたい、という思いから今回の卒論ポスター発表会に参加した。こういった動機で参加する人は多いだろう。実際ポスター制作過程では、自分が1年間行ってきた研究内容を整理し、分かりやすく表現する手法を学ぶことができた。

ただ学べることはそれだけではない。多くの人に研究成果を伝えるにあたり、自分自身の研究と改めて向かい合う必要があるからだ。発表会当日は、研究内容よりも研究を行った意義について多く聞かれた。その研究は何のためにしているのか?どのように役に立つのか?来館者との対話を通してなぜこの研究をしたのか、自分なりの答えを持っていなければならないことを痛感した。

本発表会に参加したことで、研究発表の手法を学べただけでなく自分の研究の意味について考えることができ、参加して良かったと思う。修士課程に進学した後も、自分は何のために研究をし、どのように社会に還元できるのかを考えながら研究を続けていきたい。

(理学部 生物科学科 遠藤 優)

 

この卒論ポスター発表会は、私の初めての研究発表だった。今までパワーポイント等を使って発表することはあっても、大きなポスターを貼って発表を行うことはなかったので、非常に貴重な体験だった。2日間の中で審査員の方だけでなく、市民の方にも興味深い質問や指摘をいただき、発表しながら自分もたくさんのことを学んだ。そして、特に市民の方や、聞きに来てくれた高校生に「面白い研究ですね」と言われた時は、本当に嬉しかった。私の場合、自分の研究をいかにわかりやすく伝えるか、ということについてはあまり苦労しなかったが、私が「これくらいわかるだろう」と思ってポスターや口頭説明に含めなかった内容を何度か質問されたので、気のゆるみが出ていたと反省した。

これから、修士課程に進学し専門家を相手に自分の研究を伝える機会がぐっと増える。今回の2日間で学んだことを活かして、発表の質を高めていきたいと思う。

(文学部 人文科学科 小畑 悠紀子)

 

卒論ポスター発表会は、市民の方に研究成果を知っていただく、得がたい機会となった。

ポスターは、他の参加者や教員の方々の助言と過去のデザイン案を参考に、苦労しつつも完成させることができた。必要な内容を過不足無く、わかりやすく盛り込んだポスターを作ることは難しく、発表後に、紹介すべき事柄のいくつかを盛り込めていなかったと感じた。この反省点は、次に生かしたい。

発表会では、市民の方と交流しつつ、ほどよい長さと平易さで研究成果を伝えることを心がけたが、コミュニケーションと解説のバランスを取ることが中々難しかった。また、想定外の質問をされることもあり、時折自分の考えが固まらず、適切に答えられなかったことが心残りである。一方で、自分の研究分野に対し更に理解を深め、自分の考えをより自信を持って伝えられるようにならなければ、と思えたため、よい刺激を貰えたと感じている。

今後は本発表で得られた経験を生かして、良い研究と、研究成果と自分の意見のわかりやすい発信に努めていきたい。

(農学部 生物資源科学科 片岡 奈々)

 

 

ポスター発表会に参加して、私は二つの難しさを感じた。一つ目はポスターに自分の研究成果をわかりやすくまとめることである。写真や図の構成は内容の理解に大きく影響するため、正しい理解につながるように工夫する必要があったし、説明文も読むのに適切な量の中で理解してもらえるように必要な言葉を取捨選択することが求められた。その中で全体の構成を見やすくしなければならないのがとても難しかった。二つ目は市民の方々に研究内容を説明することである。前提となる知識にそれぞればらつきのある市民の方に説明する際には話の進行に応じて補足をする必要があるが、私の説明で納得してもらえる場合とそうでない場合があり、表現を変える必要があったりもした。また研究分野が一般にはあまりなじみのないものであることも相まって、この研究が何に結びつくのかが理解できないという声も多くいただいた。

今回の発表会によってこれから研究を進めていくうえで気を付けなければならないことがいくつも浮き彫りになった。一方で多くの方と交流することの楽しさを感じることもできた。とても良い経験になったと感じている。

(理学部 地球惑星科学科 鈴木 伶音)

 

3回の中間発表会に参加し自分の発表を聞いてもらうことで、客観的な視点から改善点を聞くことができた。特に、聞き手にも理解できるよう説明したつもりでも、実際は十分に伝わってなかったということが多々あり、どのようにポスターデザインや口頭内容を工夫すれば伝わるのかを考えるきっかけになった。卒論ポスター発表会当日は体調不良で参加することができなかったが、今後もポスター発表をする機会はあるため、今回頂いた指摘を参考に,より質の高いポスター制作や口頭発表を行えればと思う。また、専門外の方でも理解できるように専門的な知識を前提としないポスターを作製したが、その結果専門分野の紹介のようになってしまった部分があり,自分の卒業研究の新規性のアピールが薄れてしまった印象がある。そのため、専門用語をかみ砕きつつも自分の研究の新規性をどのようにすればアピールできるかを考え、今後行うポスター発表に臨もうと思う。

(理学部 地球惑星科学科 田次将太)

 

卒論ポスター発表会では、今までのように専門の方の前でなく市民の皆様の前で研究成果を発表させていただく機会を得た。専門外の方にもわかりやすく研究内容を伝えるためのポスター作りは当初大変に難しく感じられたが、指導してくださった教員の方々や意欲に溢れる他の参加者の皆さんからいただいたアドバイスにより改善されていき、最後には良いものを作ることができたと思う。

当日は研究対象が北海道大学札幌キャンパスであったことも伴い、たくさんの来場者から札幌キャンパスに関する思い出や当時の様子について伺うことができた。研究方法が古地図や古写真を用いたものであったため、そういった実際の体験を伺えることは研究にとっても大きな発展となった。研究についての純粋な疑問などにもハッとさせられることが多く、今回の卒論ポスター発表会に参加させていただいたことは私にとって大きな力となった。

(工学部 環境社会工学科 田邊 美寿々)

 

参加した目的は市民の方に研究の内容を理解してもらうためにはどうしたら良いかを知ることであった。
私のテーマは市民の方にとって興味の持ちづらい内容であると考えていたため、理解してもらう上で将来的な話に繋げることで興味を持ってもらおうと工夫することにした。それにより、ポスターデザインと発表の流れを考える過程で、小さな私の研究が将来的にどんな意味を持つのかを常に意識することとなった。今回の機会で、より明確に研究の意義を理解でき、結果として市民の方に研究の内容は伝わったのではないかと思う。

しかしながら反省も多く、惹かれるタイトルの作成や適切な情報の取捨選択を行うべきであった。その点、他の発表には惹かれるタイトルや情報の選択が上手なものがあり、非常に勉強になった。
以上のことから、今回の参加した目的は概ね果たせたのではないかと考えている。今回の経験で得られたものを忘れずに今後の研究に取り組んでいきたい。
最後に、卒論ポスター発表会を運営してくださった学生、博物館の職員、先生方と共に発表した学生と来場してくださった方に感謝したい。

(工学部 応用理工系学科 福山 健)

 

私は自分の研究内容をより多くの人に理解して頂きたく、今回の卒論ポスター発表会に参加した。三回もの中間発表の場においては,先生方やスタッフの方からは指導や助言を頂き,同じ発表者同士では相互にフィードバックを行うことで、なんとかポスターを完成させることができた。北海道大学の農場をテーマとしていたため、当日は多くの方々に興味を持って頂けたと思う。来場された方からの質問や、意見をやり取りする中で、自分の研究内容の要点を再認識することができ、良い機会となった。また,自分の知らない昔の農場の様子を教えて頂き非常に参考になった。審査員の方々からは今後の農場をどうするかというご質問を数多く受けたが、この研究はあくまでも歴史を整理した基礎研究であるとお伝えしたつもりであったが伝わっておらず、残念であった。今後の学会発表では伝え方をもう一度見直して望みたい。熱心に指導して頂いた先生方、長期間にわたって準備して頂いた運営スタッフの方々には深く感謝を申し上げたい。

(工学部 環境社会工学科 宮地 広太郎)

 

 

運営スタッフ

博物館での活動の一環として位置づけられるこの発表会で、博物館での他の活動を紹介して少しでも博物館に興味を持つ方が出てくるとよいと考え、当日会場で配布するリーフレットの制作においては、先生方や他の運営スタッフのアドバイスを受けて改訂しながら内容を検討した。グループワークに問題があるとすれば、途中に洋上実習が入ったことで、特にリーフレットの仕上げの段階でスタッフと連絡が取れなかったことである。しかし、発表者との連絡は宗像さんに、デザインの統一を広報ポスターを制作した松田さんに行ってもらうなど、他のスタッフに任せることで、よりよいリーフレットが完成したと思う。スタッフのメンバーには大変感謝している。

発表会前日は、実際に会場で読み上げて初めて司会原稿の冗長さに気づいたり、発表会当日は、考えていた会場配置での来場者の入りやすさや照明の問題など、発表者と来場者の様子を見聞きすることで、机上では気づかなかったことで初めてわかることも多かった。様々な方が往来し変化する状況に合わせて運営することの難しさと、楽しさを見いだせたように思う。

(水産学部 海洋資源科学科 酒井 涼香)

 

発表学生たちは見やすくわかりやすいポスターを完成させ、発表会当日にはとても学部四年生とは思えないような、堂々とした発表を行っていた。この発表会を通じて明らかに成長した彼らとともに、運営スタッフとして携わった私自身が学んだことも多くあった。複数人での作業のため足並みが揃わないことは当然だが、それをいかに取り纏めるかが最年長の私にとっては大きな課題であった。運営スタッフに求められる役目は多岐にわたったが、意外にもこれまで培ってきた様々な経験が役立ったことで、私自身、確かな自信を得ることができたし、今後の課題を発見することもできた。しかし、全体として大きなトラブルなく進めることができたのは、何よりも「よい発表会を作りたい」という同じ熱量で、率直さと寛容さをもって接してくれた担当の先生がたや研究支援推進員、発表者、そしてスタッフみんなのおかげであったと思う。メンバーに恵まれたなあ、というのが素直な感想である。

(文学研究科 言語文学専攻 松田 真莉子)

 

大学を中心とする研究の世界と、一般社会との間をいかにして橋渡しできるのだろうという興味で発表会の運営に参加した。リーフレットやポスターの作成を通して、必要な情報を精選すること、単に情報を羅列するのではなく強弱をつけて示すことなど、受け手の立場に立つことの重要性を感じた。また、中間発表会などに参加して様々な分野の研究の世界を垣間見るだけでも楽しく、自身の視野も広がったように感じている。さらに自分の研究に自信を持ち、熱心に丁寧に紹介を行う先輩方の姿に感動した。人間生活を豊かにするという観点では有用性が見出しにくい分野に私は取り組むことになるが、基礎研究や純粋な好奇心から生まれる研究にも意義があることを伝えられるようなりたい。そのためには、その研究がなぜ行われているのか、流れの中でどこに位置付けられているのかを理解して進めていくことが必要だろう。発表会当日には高校生から年配の方まで地域の方々の大学や学生への関心の高さも感じた。多様な興味を持った方々と交流する中で多くの刺激を受けたので、このような機会があれば今後とも積極的に参加したい。

運営の仕事では私の作業が遅れることが度々あった。周囲に目を配り、心を配り、先の見通しを持って能動的に動いていかないといけないと痛感した。たくさん助けていただいた運営の2人、丁寧にご指導いただいた先生方、研究支援推進員の方々には感謝が尽きない。

(理学部 生物科学科 宗像 みずほ)