当館所蔵チセリウス電気泳動装置が化学遺産に認定されました

当館所蔵のチセリウス電気泳動装置(日立製作所製HTB-2A型)が、公益社団法人日本化学会によって、「化学遺産」に認定されました(認定化学遺産 第075号)。詳細は下記の日本化学会プレスリリースページでご覧いただけます。

『【お知らせ】第17回化学遺産認定~新たに3件を認定します~』

 

チセリウス電気泳動装置は、1937年にアルネ・ティセリウス(Arne Tiselius)が発表した無担体電気泳動装置で、自由溶液の電気泳動によって生じる溶質粒子の分布をシュリーレン法という光学的方法で観測します。その発明は電気泳動法の実用化の道を拓きました。

1947年、当時東京大学医学部生化学教室の助手で、後に北海道大学名誉教授となる平井秀松(1920-1991)は、島尾和男らとともに日本初の電気泳動装置を手作りで完成させました。1949年には、平井らの指導により、日立製作所がチセリウス電気泳動装置HT-A型を製品化し、その後も改良版のHT-B型などを開発・販売しました。「日立のチセリウス」は1950年代中頃まで、日本の生化学研究の基盤を支えましたが、1950年代後半以降は担体を用いる電気泳動装置が主流となり、次第に使用されなくなりました。

平井は1964年から1983年まで北海道大学医学部生化学第一講座の教授を務めました。今回、化学遺産に認定された当館所蔵のチセリウス電気泳動装置は、平井の研究室で使用されていた実機です。本機は、長らく1950年製HT-B型と考えられてきましたが、2025年の再調査によって、1965年製HTB-2A型であると結論づけられました。日本の生化学研究と産学連携の歩みを伝える貴重な資料として当館2階に展示されています。