授業報告 博物館学特別講義 II 第8回 6月7日

第8回 6月7日

 

担当教員:鈴木幸人

 

 今回から文学研究科の鈴木幸人先生の講義が始まった。まず、受講者が自己紹介と自身の研究内容を発表した。今回のメンバーで授業を受けるのは7回目であったが、互いの研究内容を詳しく聞く機会はほとんどなかったため、今後のグループワークに向けて、互いをより理解し合うのに重要な時間であった。活発な議論やアドバイスも交わされ、今後の個々人の研究活動に生かすことができるであろう。

 授業の後半では、「国際博物館の日記念 大阪市博物館フォーラム2010新たな可能性を求めて」の講演資料を元に、鈴木先生ご自身の体験を交えながら授業が行われた。大阪市の博物館諸施設の学芸員が自主的に行った「大阪市博物館施設研究会」に関する説明では、博物館や美術館などの垣根を越えて大阪での博物館諸施設の役割や意義を考え続けているとのことであった。また、新聞社と博物館の協力関係についても講義していただいた。中でも新聞社内の事業部は主催者として博物館と共同で展覧会を開催しており、2000年に開催された「フェルメールとその時代」展について、開催に至った経緯や展覧会の様子を例として講義していただいた。

 印象に残ったのは大阪という土地と博物館の関係性である。おそらく次週に詳細な講義があると思うが、2005年に大阪歴史博物館で行われた「阪神タイガース」展では、大阪に生きる人々の生活の中に深く絡む「タイガース」を、文化的、歴史的側面から再考証し、これまで博物館に来館したことがない人を呼び込む工夫がなされた展覧会である。博物館はその土地の歴史や文化が凝縮された空間である。常に新鮮な視点で地域を見つめ、来館者に地域の再発見と感動をもたらす為にはどうすればよいのか。次回以降の講義で学び続けていきたいと思う。(文学研究科歴史地域文化学専攻修士1年 大澤夏美)