活動報告 道立近代美術館評価プロジェクト 後期の活動 総括レポート

本プロジェクトに参加した3名の受講生の総括レポート:

このプロジェクトには、前期に引き続いての参加であったが、後期を含めて通しで関わることができたことでより多くのものを得て、成長できたと感じている。前期はアンケートを回収し、集計するのが主であったのに対して、後期はその次の段階である報告書のまとめ作業も行ったことで、回答者の意見・要望などの「声」を改めて見直すことができただけでなく、美術館側の意図や背景をあわせて検討することで、そのような意見が寄せられた理由や、要望に対する対応として今後どうすれば改善されていくのかを考えたりすることができた。実際に展示をつくった学芸員の方とこれらの議論をする中で、現場のもう一つの「声」を聞けたのは貴重な経験であった。この、様々な角度から一つの現状を見てその原因や解決策を模索した経験は、今後の自分の研究などにも応用できると感じている。プロジェクトは一つの区切りがつくが、この成果が美術館の将来につながると嬉しい。(文学部3年 大西凛)

前期・後期を通して、多くの来館者に展覧会の満足度を問うアンケート調査に協力していただき、今回、得られたアンケート結果をもとに、報告書の作成にまで携わった。展覧会ごとのアンケート結果は、次のとおりである。道立三岸好太郎美術館で開催されたアミューズランド展では、展覧会全体の満足度、来館者の満足度が8〜9割であった。一方で、道立近代美術館で開催されたエルミタージュ展では、展覧会全体の満足度は8割と高かったが、「会場の順路が分かりづらい」などの記述が多く見られ、来館者の満足度に影響を及ぼしていることが考えられた。他にも、私が報告書の執筆で担当した移動美術館においては、「展示数を増やしてほしい」「照明を工夫すべき」という記述が多く見られた。この三つの展覧会では、コンセプトが異なるために、会場の雰囲気や、来館者の作品を見る姿勢も異なると考えられる。来館者が美術館に対し、何を求めているのかを知り、改善していく上で、評価システム導入プロジェクトの推進は有効なものである、と強く感じられた。(工学部3年 倉千晴)

道立三岸好太郎美術館は、本人の死後に完成した札幌出身の画家・三岸好太郎のアトリエのイメージを取り入れた三岸好太郎作品のための建物である。大きな窓や吹き抜けが開放的ではあるが、丁寧に見学しても所要時間は1時間程度の小さな美術館である。札幌の文化施設が居並ぶ北一条通に面している道立近代美術館とは対照的に、知事公館内北側に位置している。平成23年度冬、この美術館で「おばけのマ〜ルと絵のふしぎ」展が開催された。今回はこの展覧会でアンケートを手渡し・集計し、最後に年度末の道立近代美術館評価導入プロジェクトの報告書作成にも参加させていただけることになった。

結果から述べると、上記の特別展は非常に高い満足度を得た。私はアンケートより得られたデータからその原因の考察、報告書原稿作成を分担させていただき、プロジェクトのメンバーの方々と議論することもできた。その過程で、この美術館について普段より深く考えることができた。そして、この美術館の他の美術館にはまねできない魅力についても知ることができた。(理学部3年 中島悠貴)
*2011年4月より、道立近代美術館と道立三岸好太郎美術館の運営が一体化されました。そのため、評価導入プロジェクトでは、両館で開催された 展覧会を評価対象としました。