藻類展 展示解説担当学生による考察レポート

ミュージアムマイスターコースの一環として、藻類展で展示解説を担当した学生の総括レポートをご紹介します。


私は今回の藻類展の展示解説を通して、博物館の展示解説員の役割というものを改めて考えさせられた。私は、展示解説員は、もともと専門的な知識を一般の人の要求に合わせて提供するものと考え、自分の専門ということもあり、予め自分で調査した資料も持っていたが、いきなり専門的な話をすると、来館者は少し嫌な顔をした。そこで、簡単な日常会話から展示関連の内容にいたる一つのストーリーを作ると、来館者との会話が増え、交流を深めることができた。いきなり専門的な話をするだけなら研究者が行えばよい。しかし、あえて展示解説員がいることには別の役割がある。来館者は、博物館が、自分にとって楽しみ、リラックスのできる空間であることを求めることが多い。博物館において未知の知識・情報を追求し楽しむことも、その一環である。その楽しさは、既知のもの、あるいは自分の身近な環境・現象から派生したものほど、感動し吸収しやすい。そのような一種のサービスの提供こそ、展示解説員の意義であると、展示解説における来館者との交流を通して、私は考えた。

(水産学部2年 小柳津瞳)

 

幅広い年代の人々に学習への興味・関心を持つ機会を与える今回の藻類の展示解説において、自分は、解説員が来館者と積極的にかかわることで来館者の展示に対する思いや印象が変化することを知った。例えばマリモの展示に関していえば、こちらから何も言わなければ、「大きいマリモを見た」という印象を持って終わってしまう来館者が多い。しかしこちらから声をかけ、少し深い知識を提供したり来館者からの質問に答えていくことで、来館者がもっとマリモに関心を持ち、親しみを感じてくれるようになるのを間近で感じた。このように来館者に少しでも多くの知識と思考の機会を与えることができるのが解説員であり、博物館の展示物と同じくらい、価値のある存在なのだろうと思った。貴重な経験ができたことをうれしく思う。

(総合文系1年 加藤咲)

 

藻類展の展示解説を行うことで学んだことは、展示解説の難しさである。展示解説をするとき、最初は来館者が何に興味をもっているのかわからずに、解説をすることがなかなかできなかった。しかし回を重ねていくごとに、質問をしない方でも展示物に大きな関心をもっていることが分かってきた。展示解説をするということは、一方的に話せばよいというものではなく、来館者と会話し、その方が関心を持っているものを解説をしていく中で見抜いて、詳しく解説をすることが大切なのでないかと考えた。つまり、来館者とのコミュニケーションが大切なのではないだろうか。ただ解説するだけなら機械でもできるが、会話を楽しみながら解説を行った方が来館者は楽しめるだろう。博物館には勉強のために来館する方もいるだろうが、楽しみのために来館する方も多いはずだ。最大限に楽しめるようにすることが解説員の役目でもあると私は感じた。

(理学部3年 木野瑞萌)

 

今回の展示解説に参加した経験から、博物館において展示会場に解説員が必要であるかについて考察する。私は解説員はいた方がよいと思う。なぜなら、それぞれの展示には解説文には載らないような裏話があるからである。実際に今回の展示解説で、多くの来館者の方々はそのような裏話を楽しみながら真剣に聞いてくださり、また中には「やはり(解説員に)話しかけてみるものだ」などと言ってくださる方もいた。このように、展示の裏話について教えてくれるような解説員がいれば、来館者はただ閲覧するだけでは分からなかった情報を楽しく得ることができるので展示解説員は展示会場にいた方がよいと考える。ここで「展示会場に」と限定したのは、解説員が来館者にとってより近い場所にいた方が来館者は手軽に質問をすることができるし、また解説員が来館者の様子を見ながら声をかけることにより、積極的に質問をするような方以外の方々も楽しんで展示を楽しむことができると考えられるからである。以上より、私は博物館において展示会場に解説員がいた方がよいと考える。

(理学部3年 村野宏樹)