授業報告 博物館コミュニケーション特論V 第3回 5月1日

今回の授業では、小林快次先生から、福井県立恐竜博物館を例に展示について学んだ。常設展示では目の見えない方にも恐竜の大きさをわかってもらいたいと考え、ブロンズ像を制作したり、尻尾と頭の先から音がする展示を制作したり、バリアフリーが目指された。また解説文はあまり文字数が多いと読み飛ばされてしまい、逆に博物館全体に滞在する時間が短くなる。1つのパネルに400字程度であると全文が読まれ、滞在時間も伸びるとのことであった。企画展では、恐竜という1つのテーマではなく、例えばオーロラもテーマに取り込むことで、恐竜に関心のある決まった来館者層だけでなく新たな来館者層を呼び込める可能性を持たせることができたとのことである。来館者にアンケートを実施して活動に反映させることについても説明していただいた。企画展の効果として、社会教育への貢献、歳入増加への寄与、研究機能の強化を見込むことができる。一方、企画展には莫大な費用が必要であるが、その必要性を説明できなければならないことも具体的に説明していただいた。標本の収集保存と調査研究、展示を含めた普及活動の3つを、各館でバランスを見つけて行うことが大切である。展示を実現していくために必要な様々な要素や、関係者を説得して実現していく努力などについて具体的に理解できる講義だった。

(理学院 修士1年 木野瑞萌)

福井県立恐竜博物館のケーススタディ

 

来館者の視点でパネルの文字の数やサイズを考える