【札幌キャンパス】展示解説を担当した学生による最終考察レポート

11月3日(月祝)まで開催された「学船」展で、展示解説に取り組んだ学生の最終考察レポートをご紹介します。


「学船 洋上のキャンパスおしょろ丸」展が大盛況のうちに幕を閉じ、あらためて大変素晴らしい特別展であったと感じている。展示解説中、多くの方々に意欲的な質問やエピソードをいただき、北海道大学、水産学部、おしょろ丸とそれぞれがいかに興味を持たれ、愛されているかを体感することができた。北海道大学水産学部の一員として大変誇らしく感じる。展示解説では市民の方や学内の他学部生など海、船について親しみの薄い方々にも良く楽しんでいただけたのではないかと自負する。実物が多く展示してある展示形式が人々の興味を惹き、そこから実際のおしょろ丸でのエピソードなどへ話を膨らませることができた。

かくいう私自身も9月の乗船実習まではおしょろ丸のような船に乗船した経験はなかった。乗船前の展示解説ではIV世に乗船した先輩方の話を中心に解説をしていたが、中々それだけでは面白味のある解説は難しかった。乗船後の解説をしてみて、実物を体験するということが如何に重要であるかを実感した。IV世とV世の違いや船の中での生活など解説の内容を詳しく、またわかりやすくすることができたのは勿論、話している自分自身大変楽しく取り組むことができたのである。

そうして展示解説をしている中で、「学船」展は人同士が関わる機会が大変多いことに気がついた。解説員と多様な来館者がコミュニケーションする他に、私のような学生の解説員と博物館ボランティアの方が関わったり、また中には来館者同士が会話に花を咲かせている場面が見られた。人々の出会いの場としての顔も持っていた「学船」展。あらためて大変素晴らしい企画展であったと思う。

私自身が卒業した後、もしこの様な機会に再び恵まれることがあれば、是非今度はOBという立場として来てみたい。そして今はこの経験を水産学部生としての今後に活かすことが出来る様努めて行く所存である。

(水産学部2年 岩崎峻)

学芸員の役割の一つでもある展示解説だが、私は今回以外にも解説自体は経験したことがあった。しかしながら以前経験した解説というのは、定めた展示物に対し20〜30分程度の解説を行うといった形式であり、私自身展示解説とはかくあるべきだと認識していたが、今回は3時間半を一区切りとした展示場にて常駐する形式の展示解説であったため、私にとっては初めてに近い事柄だったのである。そのため初回は勝手がわからず、来場者に対してただひたすら「何か質問がありましたらお気軽にご質問ください」と言うだけの、展示解説スタッフではなく、ただ来場者の様子を見守る監視員、と言ってもよいような存在にしかなれなかった。また、来場者の方々は幼い子供から高齢の方まで年齢層が幅広く、そのつど対応の仕方に迷うために結局展示解説ができないといった結果で、これが10回も続くのかと考えると暗澹たる思いを感じる羽目になったのである。しかし、初回、二回と回数を繰り返し、その都度考察レポートを仕上げ、自分にとっての課題を浮き彫りにすることで、徐々に改善する見通しがたってきた。さらに先生方や同期の解説経験者からアドバイスを貰い、自分の課題の対処法へと組み入れることで、第4回、第5回を終えた頃には私なりの展示解説をある程度は確立させることができたのである。さらに乗船実習が9月の中旬にあったことから、展示解説の内容は自分の体験を踏まえたものへと変化し、より詳しい内容を来場者に合わせて解説できるようになり、初期の頃と比べて大いに手応えを感じるようになった。今回の展示解説スタッフの参加は、学芸員としてでなく、「解説」という部分の大きな経験として、今後活用していきたい。

(水産学部2年 江口剛)

 

 

     

 

↑展示解説をする岩崎君(左)と江口君(右)

 

 

 今回「学船 洋上のキャンパスおしょろ丸」展には、IV世に乗船した経験や企画展会期中に乗船予定のV世での経験を展示解説で生かすことができると思い、参加を希望した。「この時間から30分かけて原稿通り展示解説」というスタイルではなく、その時その時の来館者に対応し、適切な案内・解説・コミュニケーションをするというスタイルは初めての経験だった。前者のスタイルとの大きな違いとして、一つ目に待ち時間があるという点、二つ目に一日に何度もやり直す機会があるという点を感じた。待ち時間には、はじめはどう過ごして良いのか困惑してしまったが、次第に誰もいない展示室で自分の話し方や立ち位置を来館者視点で考えてみたり、来館者の動線をシミュレーションしたりすることを覚えた。そこで考えたことを踏まえて話す内容や順番を一度のシフトの中で何回も変えるなど、様々な試みを行うことができた。「いまの話し方は分かりづらかったな」と失敗してしまうこともあったが、それをすぐに修正、そして再挑戦することができたのはとても貴重な機会だった。また、V世の乗船実習や普段の水産学部の講義でも「この話題は展示解説に使えそうだ」、「これを来館者に伝えるにはどうしたらいいだろう」など、常にアンテナを張ることで、目的のある、有意義な時間を過ごすことができた。「学船」展で学んだことを生かして、今後もアンテナを張り続けていきたい。

(水産学部2年 雲中慧)

 

解説に入った際に感じたのは、ご来館になった多くの方が同じ様な質問をされるという事であった。内容としては、おしょろ丸に関する事はもちろん、水産学部についてや、水産学部生がどんな事をしているのか・・・というものであった。自分が解説に入った時に出会う方は初めての方ばかりであるのに対し、会う方々が同じ事を尋ねるというのは、それだけ同じ関心を皆が抱いていたと言えるのではないかと考える。また、これを踏まえると、多くの方が興味はあったが知ることができなかった内容を、博物館という公共の場で広げることができたのは、今回の企画展に大きな意味があった事を伺わせる様に思う。さらに、多くの解説員が揃ったことも、より多くの方に直接対応出来ることに繋がり、おしょろ丸についての見地を広げられたのではないかと感じている。そして、自分としては、解説員それぞれの対応の仕方を見ることから、自分では気づかなかった、より良い対応の仕方を学ばせていただき、貴重な時間を過ごせた様に思う。

(水産学部2年 山内彩加林)

 

 

     

 

↑展示解説中の雲中君(左)と山内さん(右)