ミュージアムマイスターが博物科学会で発表

2011年6月24日

名古屋大学で開催された第6回博物科学会で、ミュージアムマイスターの中川理絵さん(文学研究科修士2年)が学会発表を行いました。ミュージアムマイスターコースの昨年度の社会体験型科目の1つである展示制作プロセス演習で、中川さんがグループ・リーダーとして担った展示リニューアルの取り組みについて、グループワークをいかに適切に進めたか、課題をクリアしたかについて、明快な発表を行いました。

大学博物館で学生が展示リニューアルを担う意味などについて問う質問にも的確に応えていました。

【発表要旨】
大学院授業による展示リニューアルに関する報告−展示作業計画と実践−
        中川理絵(北海道大学文学研究科修士2年、HOKUDAIミュージアムマイスター)

北海道大学総合博物館では、2007年前期に1階奥に位置する「科学技術展示室」の来館者調査を行った。その結果、他の展示室と比較し、入館者数、滞在時間等の点で改善が必要であることが分かった。そこで、北大文学研究科ゼミの一環として、2007年後期よりリニューアル作業を開始した。2008年度までは既存展示のブラッシュアップ作業を行い、2009年には1年間限定の新コンテンツを導入した。2010年度は、2009年度に導入したコンテンツ2箇所を新コンテンツに入れ替えた。展示制作作業には北大工学院のエネルギー変換システム研究室(PEM型燃料電池)、量子機能工学研究室(ナノ構造における表面弾性波の可視化)の2研究室にご協力をいただいた。

グループワークによって、ゼミ生が各研究室の研究内容のヒアリング調査をし、展示内容やコンセプトを決定した。その後、前期授業の最終日に博物館に展示内容等を提案し、承認を得て、後期授業から展示制作作業を開始した。2011年1月31日に「PEM型燃料電池で創る未来」、「音を見よう!−ナノレベルの波が見せる結晶と螺旋上の波の不思議な世界−」という二つの展示が完成した。

2009年度の新コンテンツ導入時と比較し、役割分担、作業の手順には大きな変更はなかった。しかし、時間管理面で発生した課題をふまえ、実際の作業を開始する前に、全体の作業工程を明確にし、詳細な作業日程表を作成した。同時に、ゼミ生がコーディネーターを担い、研究室、展示制作会社、博物館とのスムーズな連携の手法も検討した。その結果、定められた期日内に完成することができた。

本発表では、ゼミ生が、展示リニューアルを制作内容だけでなく、作業計画を自己管理しつつ取り組んだことの意義について考察する。


名古屋大学野依記念学術交流館での発表


中川理絵さん(ミュージアムマイスター)