授業報告 博物館コミュニケーション特論 I 第14回 7月19日

本日の授業では、9月上旬に行う博物館教員への「学芸員まるごと!体験ツアー」成果報告会に向け、ツアーの振り返りをおこなった。最初に、ツアーに対する率直な感想を学生一人ひとり述べた。予想以上に積極的な小学生の態度に驚いた、計画的かつ臨機応変に対応できた、小学生はもちろんのこと学生自身が楽しめたなどの感想が出された。一方で、想定外の行動への対応や、小学生同士のコミュニケーションのより効果的な促し方などが課題として挙げられた。続いて、小学生及びその保護者からのアンケート結果や参与観察をもとに、①展示以外の学芸員の仕事を知ってもらう、②博物館をまた訪れたいと思ってもらうという本企画の2つの目的が達成されたかどうかについて検討した。①については、アンケートでは小学生全員が展示制作以外の学芸員の仕事も「よく理解した」「理解した」と回答しただけでなく、植物の採集や同定等の展示制作以外の作業もおもしろかったという感想も寄せられたことに注目した。またツアー中も、各作業に真剣に取り組んだり大学生に質問をしたりと、学芸員の仕事に興味を持ち積極的に学ぶ姿勢が見られたことも指摘された。②については、アンケートでは小学生全員が博物館を「また訪れたい」と回答した。さらに、自分の作製した標本を展示室に自ら展示することで、再度標本を見に博物館に訪れたくな るという要素を企画に盛り込んだことも、目的達成のためには効果的であったと考えられる。
他にも、安全面での対応や小学生が主体的に活動を行える雰囲気や場をつくったことへの保護者からの高い評価や、小学生と学生との交流に関する小学生・保護者双方からの高い評価も、ツアーを検証する際に注目すべきだといった様々な意見が出された。新聞に報告記事が掲載されたことはツアーの注目度の高さとして捉えられるだろう。博物館の通常の広報ルート以外にも児童館や小学校に広報したことは、参加に結びつかなかった場合にも、博物館の存在や学生がこのような企画を実施していることを周知するという点で意味があったと言えるのではないか。私自身も、小学生と学生の双方にとって有意義なツアーとなったと感じている。最後に、成果報告会の発表の流れ及び発表スライド作成の分担を決定した。今日の振り返りをもとに各々発表内容を考え、次週は成果報告会の発表準備へと取り掛かる予定だ。振り返り、評価、報告に至るまで、最後まで受講者全員で協力して進めていきたい。

織田未希(理学院修士1年)

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アンケートと参与観察などから得られた情報をもとにツアーを検証する