【活動報告】2013年12月14日(土)〜15日(日)昆虫パラタクソノミスト養成講座(初級)in 小樽
昆虫パラタクソノミスト養成講座(初級)in 小樽
日 時:2013年12月14日(土)〜15日(日) 10:00〜16:00
場 所:小樽市総合博物館・研修室
講 師:大原昌宏(北海道大学総合博物館 教授)
山本亜生(小樽市総合博物館 学芸員)
稲荷尚記(北海道大学総合博物館 資料部研究員)
神戸 崇(北海道大学大学院農学研究院 学術研究員)
参加人数:6名
スケジュール
14日(土)
10:00〜10:20 講座開講の挨拶、講師の紹介、受講生の自己紹介
10:20〜12:00 昆虫の各目の特徴についての講義1(担当:大原)
12:00〜13:00 昼食
13:00〜14:00 昆虫の各目の特徴についての講義2(担当:大原)
14:00〜14:30 実体顕微鏡の扱い方、昆虫の同定作業についての説明(担当:稲荷)
14:30〜16:00 飛翔性中・大型昆虫の同定1(担当:全講師)
15日(日)
10:00〜11:20 飛翔性中・大型昆虫の同定2(担当:全講師)
11:20〜11:30 土壌性微小昆虫の観察についての説明(担当:大原)
11:30〜12:00 土壌性微小昆虫の同定1(担当:全講師)
12:00〜13:00 昼食
13:00〜15:00 土壌性微小昆虫の同定2(担当:全講師)
15:00〜15:20 乾燥標本の作成方法の説明(担当:大原)
15:20〜15:40 乾燥標本の作成(担当:全講師)
15:40〜16:00 修了証授与式、講座閉講の挨拶
講義内容
1日目
<午前>
本講座は6名の受講生を迎え開催されました。まず講座開講の挨拶および講師の紹介をし、各受講生から自己紹介をしてもらいました。続いて、大原講師より昆虫の各目の概要について講義をしました。昆虫の系統進化に沿って、原始的な不完全変態昆虫(カマアシムシ目からカメムシ目)の各目の形態や生態などについて紹介しました。
<午後>
まず午前中の講義の続きとして、より新しい起源をもつ完全変態昆虫(アミメカゲロウ目〜チョウ目)の各目の特徴について紹介しました。
講義の後、受講生には普段観察する機会が少ない分類群の標本を顕微鏡で観察してもらいました。はじめに富良野市東大演習林で衝突板式トラップで採集された飛翔性昆虫のエタノール液浸標本を絵合わせで分類し、検索表等を用いて目まで同定(どのグループに属するかを確定する作業のこと)しました。
なお、作業中の休憩については、各自の判断に合わせて自由にしてもらいました。
2日目
<午前>
この日は1名が悪天候のため欠席したので、5名の受講生を迎えて講座が行われました。
まずは昨日の続きとして飛翔性中・大型昆虫を観察し、どの目に属するかを調べました。
11時すぎになると一部の参加者は飛翔性昆虫の同定を終えたので、11:30から大原講師が茨城県笠間市で採集した微小な土壌性昆虫のエタノール液浸標本を渡し、土壌環境にしか見られない分類群について特に注目を促しました。なおこのサンプルからは、北海道では観察する機会の少ないカマアシムシ目が見つかり、触角が無い代わりに前肢を持ち上げるなど、他の昆虫には見られない特殊な形態が注目を集めました。
<午後>
午前中の続きとして、土壌性昆虫の観察と同定が行われました。
15時から、大原講師が午前中に同定した甲虫を用いて乾燥標本を作る方法を実演しながら説明しました。大型甲虫はピンを直接体に刺し、小型甲虫は三角台紙に接着剤で糊付するという、体の大きさに応じて異なる方法を使い分ける点を説明し、参加者も両方の方式で昆虫を作成しました。また、学術標本として最も重要なラベルの意義を説明し、どの位置にピンを刺すべきかといった実用上の具体的な注意点など幅広い知識についても学びました。
最後に受講生に修了証を授与して講座閉講の挨拶をしました。