【4月2日】 展示室リニューアル公開 〜 「北大の蔵書」

 2013(平成25)年4月2日に、常設展示2階「北大の蔵書」展示室がリニューアルオープンしました。このリニューアルは、総合博物館監修の下、平成24年度の文学研究科演習「人類学特別演習」(担当:佐々木 亨)において、11名の大学院生が完成させたものです。展示企画、展示シナリオ作り、展示レイアウトの検討、解説パネル原稿の執筆、展示ラベルの作成、資料の列品、ライティングなどといった展示制作作業のすべてを大学院生が一貫して行ないました。
 


〜 北大の蔵書 〜

 北海道大学附属図書館は、開学以来北海道大学の研究・教育に必要とされる書籍を収集し続けています。北大の蔵書の特色としては、虫食いや湿気、災害などによる被害を比較的受けていないため、多くの蔵書がよい保存状態で残っていることがあげられます。


新しい展示室は次の4部構成です。
I. 学びの様子を伝える貴重書:開拓使時代のお雇い外国人の舶載洋書について紹介し、さらに札幌農学校文庫に所蔵されている感想や註の書き込みや線引きされている書籍から、学びの様子を探ります。そして、クラークから札幌農学校へもたらされた書籍を新渡戸稲造文庫から紹介します。
II. 文化に関する書籍:明治時代にもたらされた英語版の初版本などのジュール・ヴェルヌの著書や、1937(昭和20)年発行の『北海道帝國大學新聞』「豫科・文化調査」記事の学生の投票結果から、当時人気のあった著者の書籍を紹介しています。
III. 学生の机:昭和初期の学生机のイメージを再現しています。細かい字を詰めて書き連ねた受講ノートは、当時の研究動向や学びの様子を伝えています。
IV. 北海道大学附属図書館の歴史:多数の蔵書を収集・提供することで大学における研究と教育を支えてきた北海道大学附属図書館の歩みを、写真・目録・蔵書印からたどっています。


展示している書籍には読後の感想や図などの書き込みがみられるものもあります。ここで展示している資料は北大の蔵書中のごくわずかなものですが、展示されている書籍を通して、当時の学びの様子を感じ取ることができます。 一年間をかけて大学院生が手掛けたリニューアル展示をご覧いただき、ご意見をいただきたいと思います。

  場   所 : 本館  常設展示2階 Room 14  「北大の蔵書」

展示制作 :
 秋保 佑香里, 新井 藤子, 飯浜 幹広, 大内 須美子, 大沢 彩加, 長田 詩織, 勝木 麗華,

ジャイナ・ジャルキンキジ, 佐々木 亨,  鈴木 嵩彬, 高野 修平, 福岡 沙和 (学生・教員)

協   力 :
 池上 重康, 井手上 啓子, 井上 高聡, 大原 昌宏, 加藤 克, 小坂 麻衣子 (敬称略)

北海道大学 附属図書館, 北海道大学 大学文書館

 


〜 展示会場の様子 〜

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(1) 学内の研究室でかつて使われていた木製の本棚などを利用して蔵書を展示し、他の展示室とは異なる雰囲気を作りだしました。
(2) 「学びの様子を伝える貴重書―札幌農学校時代―」では、当時の和書・洋書・漢籍など幅広い分野の書籍を紹介しています。   神田玄泉『日東魚譜』1736年
 (3) 「学生の机」では、佐々木隆介氏(1938(昭和13)年農学部入学) をモデルにイメージを膨らませ、受講ノート、書籍、文具などで当時の机を再現しました。
(4) 展示している学生の受講ノートは、詳細な図や細かい字が書き連ねられ、当時の北大における研究動向や学びの様子を知ることができます。
(5) 1937(昭和12)年9月14日発行の『北海道帝國大學新聞』「豫科・文化調査」には、学生による人気著者の投票結果が掲載されました。
(6) 「学びの様子を伝える貴重書―開拓使時代―」では、開拓使時代のお雇い外国人の舶載洋書、札幌農学校時代の学生の読んだ書籍を紹介しています。
(7) 「北海道大学附属図書館の歴史」では、札幌農学校書籍室(1876(明治9)年)から現在まで、各時代の北海道大学附属図書館の写真・目録・蔵書印を紹介しています。