2階「北大の学び舎」

 水産学部

水産学部にはおしょろ丸という練習船があります。水産学部の展示スペースでは、歴代のおしょろ丸で実際に利用されていた舵輪や学生用の長椅子を展示しているほか、起工式や造船中の様子、さらに海洋での乗船実習の様子の映像が上映されています。また魚類、海鳥や海藻などの標本と、漁具などの展示もあります。海や生き物の分野のトップサイエンティストを早期に発掘・育成するバランスドオーシャン事業に関連した展示は定期的に更新されています。

 

 獣医学部

たくさんの骨格標本が並んでいる獣医学部の展示スペース。展示されている標本のほとんどは教育・研究のために実際に北大の獣医学部で解剖された後、標本化されたものです。標本はいかにも獣医師が対象としそうなウシやウマに限りません。ライオンやゾウ、カバなどの哺乳類、ダチョウやアヒルなどの鳥類、それにソイやウバザメなどの魚類、爬虫類であるキモンオオトカゲや両生類のエゾアカガエルまで含まれています。獣医学部の一押し研究者は喜田宏名誉教授。そのインフルエンザウイルスに関する研究が紹介されています。

 

 農学部

北大の源流、農学部。北大の前身が札幌農学校であることをご存知の方も多いものと思い ます。農学部の展示スペースでは、農学部に関連した古き良き建築物の模型とともに、動物の死体や糞に集まるエンマムシや性が逆転したトリカエチャタテなど、農学部の研究者が研究してきた昆虫などの標本も展示されています。一押し研究は藤野介延准教授と山田哲也講師のダイズの遺伝子に関する研究です。サンゴやクラゲに由来する光るタンパク質を遺伝子組換え技術で導入した赤や緑に光るダイズ種子もぜひご覧ください。

 

 経済学部

経済学部の展示スペースで目を引く鮮やかな民族衣装、これは中央アジアに位置するウズベキスタンの婚礼衣装です。一押し研究は、樋渡雅人准教授の「ウズベキスタンの慣習経済」に関する研究。慣習経済とは、血縁・地縁などの社会的紐帯や慣行ルールを媒介に人々が相互に依存する経済を指し、「上からの」計画経済と対比的な「下からの」経済と位置づけられます。この豪華な婚礼衣装も慣習経済に関係しています。その関係とは何か。樋渡先生のフィールド調査の様子を伝える写真や資料とともに、その答えを展示室でぜひお確かめください。

 

 法学部

法学部の展示スペースには、司法の象徴としてしばしば用いられる正義の女神(テミス・ユスティティア)の像が展示されています。手にした剣と天秤はそれぞれ力と衡平を、目隠しは紛争当事者の身分や貧富にとらわれない判断、法の下の平等を表すとされています。
一押し研究者は、弁護士業等の実務を通じて民事紛争解決に携われてきた横路俊一准教授。パネルでは、横路先生が研究の道に進まれたきっかけが紹介され、民事紛争解決の手段が分かりやすく解説されています。紛争の当事者にとって利用しやすい民事紛争解決制度をデザインすることを目指して研究されている横路先生の思いと、紛争解決の現場を、この展示を通して知っていただければと思います。
他にも、法学部校舎内の「法廷教室」で行われた模擬裁判の授業の様子を映像でご紹介しています。

 

 教育学部

「北大の学び舎」のラストを飾るのは教育学部です。松本伊智朗教授の研究が一押し展示として紹介されています。テーマは「子どもの貧困」です。松本先生が大学院生だったころのノートやカセットテープ、聞き取りカードが展示されています。今でこそ重要な政策的課題として認識されている子どもの貧困。実は松本先生が大学院生であった1980年代半ばにはほとんど認識されていなかったといいます。当時、児童養護施設で中学生の学習ボランティアをしていてこの問題に気づいた松本先生のノートには「子供の貧困」の文字がはっきりと残されています。
他に、かつての北大幼稚園や学校での身体測定について当時の写真や器具とともにご紹介したり、地域の問題を世界共通の問題と比較・対比しながら考察する「ESD キャンパスアジア・パシフィックプログラム」についても映像とともにご紹介しています。