【8月3日開催】 バイオミメティクス市民セミナー (第92回) – 『持続可能な社会とバイオミメティクスを考える その5 環境、農業、経済 』

「律動する世界」

仁連 孝昭 先生(成安造形大学客員教授、滋賀県立大学名誉教授)

エコシステムは初期の成長段階から成熟段階に遷移し、安定した極相(クライマックス)に至ることが教科書に書かれています。
だが長い目でみると、洪水、山火事、害虫の蔓延などが必ず起こり、安定したエコシステムも撹乱され、それに耐えきれなくなると、新たなレジームに転換します。
エコシステムと同じく多様な人々のネットワークで組織されている人間社会も生態系と同じように成長段階、成熟段階、撹乱による下降段階、そして新たなレジームの創発段階へという律動の大きなうねりから逃れられません。
人間コミュニティは一直線に進歩するのではなく、生物コミュニティと同じように律動するのです。そうであれば、私たちは今律動のどの段階にあるのかを認識し、その段階に応じた対応をしなければならないことになります。
持続可能な社会を考えるとき、律動のどの段階に立っているのかを認識することが重要です。これができて初めて、生物コミュニティに蓄えられた知恵を私たちは有効に利用できます。律動する世界について一緒に考えましょう。

<略歴>

1975年 京都大学大学院経済学研究科(博士課程)で学際領域を研究

1979年 広島大学総合科学部助手となり開発について研究。

1983年 日本福祉大学経済学部助教授、担当は財政学。

1991年 国連地域開発センターでラオスの環境と開発について研究

1995年 滋賀県立大学環境科学部で環境経済学を教える。

2000年 NPO法人エコ村ネットワーキングを設立。

2002年 滋賀県琵琶湖環境部で環境行政を兼務。

2009年 滋賀県立大学副学長となり地域・産業と大学の連携を進める。

2011年 NPO法人Ask Nature Japanを設立。

2017年 成安造形大学客員教授 エコロジーと社会を教える。

 

「勇払原野の原風景再興と新ビジネスの創出をめざして」

藤田 和徳 先生(NPO法人アグリコミュニティ千歳 理事長)

農業・農村は、食料供給に加え国土や自然環境の保全、良好な景観形成の役割を持つが、就農人口の減少により持続性確保が懸念されます。
勇払原野は、縄文時代前期からひとが生活を営み、不老長寿秘薬のハスカップが自生。栽培は千歳で始まるが迫る危機。薬効・美容・健康の効用があり、苺・レモン・ブルーベリーより高栄養価でも低い活用度。ハスカップの植栽による原風景再興と、果実を活用したブランド品開発の取組みを紹介します。
次に、情報通信技術・ロボット技術を利活用して、超省力・高品質生産を実現する新たな農業がスマート農業です。超省力化の農業、データ駆使の戦略的な生産、取組みやすい農業、生産と販売の連携などの実現が目的。
スマート農業の市場と技術の動向、さらに千歳発スマート農園モデルをハスカップ農園への先行導入の紹介をします。重労働と勘&経験の農業の障壁を下げ、農業の魅力アップに繋げたいと考えます。

<職歴>

日本電気(株):情報通信システムの研究開発・開発設計[海外特許も取得]及びシステムエンジニア、さらに事業の企画・統括・経営に従事。

北海道内情報通信企業[(株)エスイーシー  アイフォーコム(株)  他]:事業拡大及び経営強化、さらに一次産業の高度化への寄与に、役員として従事。北海道内の大学・高専との協働研究や学生への講演にも取組む。

NPO法人アグリコミュニティ千歳:設立の準備・諸手続を行い,理事長に就任。スマート農業の研究開発や導入推進、及びハスカップの郷づくり構想に取組む。

<技術分野>

音声&データ通信方式、分散制御方式、IoT、組込ソフトウェア等

日時

2019年8月3日(土)13:30~15:30

講師

仁連 孝昭 先生(成安造形大学客員教授、滋賀県立大学名誉教授)

藤田 和徳 先生(NPO法人アグリコミュニティ千歳 理事長)

会場

北海道大学総合博物館/3F 北講義室(N308)

主催

北海道大学総合博物館

共催

高分子学会北海道支部

北海道大学電子科学研究所

特定非営利活動法人バイオミメティクス推進協議会

高分子学会バイオミメティクス研究会

公立千歳科学技術大学地域連携センター