【6月1日開催】 バイオミメティクス市民セミナー (第90回) – 『持続可能な社会とバイオミメティクスを考える その3 海の恵みを産業に 〜自然資本という考え方~』

「海からの贈り物が生活を豊かに」

東 乙比古 先生(北海道化学事業創造センター 代表理事)

「基礎化学品」ってわかりますか? 道内唯一の基礎化学品メーカー「北海道曹達㈱」をご存知ですか? 我々現代人の生活を豊かにしてきた諸々の工業製品の多くが、海水に含まれる「塩:塩水」を電気分解して得られた『塩素』や『苛性ソーダ』(水酸化ナトリウム)を原料に製造されています。この塩素や苛性ソーダを基礎化学品と呼び、私はこれらを製造する北海道曹達㈱に40年間勤めてきました。
普段はあまり耳にすることのない基礎化学品の紹介と、化学品メーカー勤務だった私が何故今の仕事:研究者・研究機関と産業界・事業者の「橋渡し」を始めたか、紹介させていただきたいと思います。

<略歴>

1950年 札幌生まれ

1976年 信州大学工学部工業化学科 卒業

1976年 北海道曹達㈱ 入社

2010年 取締役 企画管理室長兼研究開発部長

2015年 上席顧問

2017年 (一社)北海道化学事業創造センター設立 代表理事就任

 

「海洋資源を活かす。ホタテ貝殻からヒントを得て」

山中 真也 先生(室蘭工業大学 准教授)

石灰(炭酸カルシウムや消石灰などのこと)をターゲットに、貝殻の物質としての特徴から、その有効活用例についてお話しします。とくに、石灰と畜産分野との関わりについても紹介します。口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザは代表的な家畜伝染病で、その対策が喫緊の課題となっています。ほぼ毎年発生し、発生地で甚大な被害をもたらしていることは報道等でご存知かと思います。対策の基本は農場防疫で、現場では液体消毒のほかに、固体の消石灰(水酸化カルシウム)を散布する、いわゆる待ち受け消毒が併用されています。しかし、既存の消石灰は決して使いやすいとは言えません。本講演では、継続的な待ち受け消毒を実現するために使いやすさを追求して開発した多機能粒状消石灰の特徴と、これの普及・事業化に向けた我々「室蘭工業大学北海道天然物質研究コンソーシアム(略称:H-NMRコンソーシアム)」の取組を紹介します。

<略歴>

2005年 同志社大学工学部物質化学工学科 卒業

2007年 同志社大学大学院工学研究科数理環境科学専攻 修了

2010年 同志社大学大学院工学研究科工業化学専攻 修了(工学博士)

2010年 大阪大学接合科学研究所特任研究員

2011年 室蘭工業大学大学院工学研究科助教

2012年 室蘭工業大学大学院工学研究科准教授

http://www.h-nmr.net/

 

日時

2019年6月1日(土)13:30~15:30

講師

東 乙比古 先生(北海道化学事業創造センター 代表理事)

山中 真也 先生(室蘭工業大学 准教授)

会場

北海道大学総合博物館/3F 北講義室(N308)

主催

北海道大学総合博物館

共催

高分子学会北海道支部

北海道大学電子科学研究所

特定非営利活動法人バイオミメティクス推進協議会

高分子学会バイオミメティクス研究会