【2月3日開催】 バイオミメティクス市民セミナー (第74回) – 『働かないアリと粘菌生活』

働かないハタラキアリはなぜいるのか? -ムダの進化-

アリは働き者として知られるが、巣の中には、ほとんど働かないハタラキアリが2~3割くらいいる。効率的な者が増えていくというダーウィンの自然選択説の元で、なぜ、こんなムダとしか思えない者が存在するのだろうか。他にも、増殖効率を最大化するはずの自然選択説の下で、一件ムダにしか見えない生物の様々な行動が進化している。働かないアリを一例に、これらのムダがなぜ進化できたのか、生物の適応進化や、現在の生物の有り様は本当に自然選択説だけで説明できるのか、について紹介したい。

長谷川 英祐(北海道大学大学院農学研究院 准教授)

1994年 日本学術振興会特別研究員
1995年 東京都立大学理学研究科生物学専攻博士課程修了
1996年 京都大学生態学研究センター非常勤講師(中核的研究機関研究員)
1996年 新技術協会科学技術特別研究員
1997年 北海道大学農学部助手
2004年 北海道大学農学研究院助教授
2007年 北海道大学農学研究院准教授

持続可能な、粘菌生活?!

真正粘菌という単細胞生物は、一つの細胞のまま数センチメートルから時には数メートルの大きさにまで成長し、形を自由自在に変えてモゾモゾと動き回る巨大アメーバ生物です。しかし、この様に巨大化しても粘菌には目の様な高機能な感覚器も脳の様な情報処理に特化した器官も見当たりません。どの様にしてこの巨大な細胞を制御して、複雑な自然の中で生き延びているのでしょうか。本講演では巨大アメーバのつくり出すダイナミックな秩序や様々な行動などについてお話しその能力を明らかにしていきます。

高木 清二 (公立はこだて未来大学 准教授)

略歴:
2001年名古屋大学大学院人間情報学研究科博士課程を修了(学術博士)。その後2003年までニース非線形研究所(Institut Non Linéaire de Nice、仏国)で博士研究員。2003年より北海道大学電子科学研究所で助手、助教、准教授を経て、2014年より現職。

日時

2018年2月3日(土)13:30 ~ 15:30

講師

長谷川 英祐(北海道大学大学院農学研究院 准教授)

高木 清二 (公立はこだて未来大学 准教授)

会場

北海道大学総合博物館 / 1F「知の交流」
札幌市北区北10条西8丁目

主催

北海道大学総合博物館

共催

科学研究費 新学術領域「生物規範工学」
高分子学会北海道支部

協賛

千歳科学技術大学バイオミメティクス研究センター