「北極圏のコミュニケーション―境界を越えるサーミ」展が開幕

グローバルCOEプログラム「境界研究の拠点形成」では、研究成果を社会に発信する場として、北海道大学総合博物館2階に展示ブースを設け、様々な「境界」に関する展示を行っています。

第7期成果展示となる今回は、「北極圏のコミュニケーション―境界を越えるサーミ」と題し、北欧及びロシアの北極圏に居住する少数民族サーミを取り上げます。

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5月25日(金) オープニングセレモ二―

展示の開幕に合わせ、タルモ・ヨンパネン氏(シーダ博物館 館長)、津曲 敏郎氏(北海道大学総合博物館 館長)、本堂 武夫氏 (北海道大学理事/副学長)、田畑 伸一郎氏(北海道大学スラブ研究センター 教授/北海道大学ヘルシンキオフィス 所長)、展示企画者のマルティナ・テュリセヴァ氏(フィランドセンター北海道事務所 所長)らによる挨拶とテープカットが行われました。

 

 

5月26日(土) 土曜市民セミナー

北海道大学総合博物館「知の交流」コーナーにおいて、土曜市民セミナー「フィンランドにおけるサーミ文化の現状」が行われました。「北極圏のコミュニケーション―境界を越えるサーミ」と関連した連続セミナー(全7回)の第一弾で、マルティナ・テュリセヴァ氏の挨拶のあと、 タルモ・ヨンパネン氏自らが、サーミ文化の現状について講演を行いました。

ヨンパネン氏は、冒頭で、今回道立北方民族博物館からお借りして展示している資料(ハーネス)に、偶然にも氏の伯父が使用していた物が含まれていたエピソードを紹介しました。

セミナー内では、サーミ語の現状と母語の維持活動の現状について、多くの時間が割かれました。サーミの2/3はサーミ地域外に暮らしており、若年層のサーミ母語人口の減少が顕著であるという危機的状況に対し、ネットラジオや大学におけるサーミ語授業の開講といった対策が紹介されました。また、サーミ・コミュニティーの様々な活動のうち、サーミ議会や、サーミ博物館、観光業について紹介がありました。

会場からは、差異が大きい諸サーミ語間のコミュニケーションの取り方や、広範囲に点在するサーミ人にとってのSIIDA博物館の意義、少数民族側から見た観光業等、アイヌの状況を念頭においたと思われる質問が多く寄せられました。

ヨンパネン氏の講演は、内部からの視点に基づくもので、少数民族文化の維持・発展の在り方に多くの示唆を与えるものでした。なお、サーミについてより詳しく知りたい方は、下記のHP閲覧をお勧めいたします。

土曜市民セミナー(全7回)の詳細はこちら

 

   

 通訳:ウッラ・ピルコラ氏(フィンランドセンター北海道事務所)

 

6月からは同会場にて、毎月第1日曜日にサーミを題材とした映画やサーミの監督による映画を上映します。

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