【活動報告】2012年8月18日(土)〜19日(日)岩石鉱物パラタクソノミスト養成講座in士別

岩石鉱物パラタクソノミスト養成講座in士別(中級)

日 時:2012年8月18日(土)〜19日(日) 10:00〜17:00

場 所:士別市立博物館

講 師:松枝大治(北海道大学総合博物館)   

参加人数:9名

スケジュール

18日(土)

10:00〜12:00 基礎講義(鉱物)

                              1)鉱物の種の定義と分類    2)鉱物の物理化学的性質    3)鉱物の同定法    4)その他

12:00〜13:00 昼食

13:00〜14:30 鉱物同定実習(1)

14:30〜14:45 休憩

14:45〜16:00 鉱物同定実習(2)

19日(日)

10:00〜12:00 基礎講義(岩石)

                              1)岩石の定義と分類    2)岩石の肉眼・顕微鏡鑑定法    3)岩石の成因

12:00〜13:00 昼食

13:00〜15:00 基礎講義(岩石)

                              4)特殊な岩石(隕石・鉱石)    5)岩石同定実習

15:00〜15:15 休憩

15:15〜16:00 特別講義「人間の役に立つ岩石と鉱物の四方山(よもやま)話」


講義内容

1日目

<午前>

   本講座は、正式参加登録者5名に加え、未登録者4名(特別参加)の合計9名の出席の下で実施されました。最初に講師の紹介がなされ、本講座の目的、意義などの位置づけについての説明とスケジュールの確認及び諸注意が行われました。

   次に、講師により地球を構成する最小単位(肉眼で識別できる)である鉱物の定義と分類法に関する基礎講義がなされました。引き続き、鉱物種の分類に関わる鉱物の多様な物理化学的性質の説明や、各種機器を用いた簡単な肉眼による鉱物の簡易同定法に関する紹介と簡単な実習も行われました。

<午後>

   午後も引き続き関連講義が行われ、併せて主に多様な鉱物標本を用いた鉱物の各種性質の検討に関わる実習が進められました。参加者は、本講座のために用意されたカラフルで美しい沢山の鉱物を実際に手に取りながら、ルーペその他の簡易鑑定用具を用いて鉱物の肉眼鑑定実習に取り組みました。特に、鉱物の同定では色、形、硬さ、比重、光沢、ヘキ開、条痕等の直接的な視覚・触感等だけではなく、紫外線発光器等を用いた鑑定法も学びました。

2日目

<午前>

   2日目午前は、鉱物の集合体である岩石および特殊な岩石としての隕石や鉱石について、実物標本を用いながらの基礎講義と実習が行われました。最初に、岩石の定義と分類に関しての講義が行われ、しばしば混同されがちな岩石と鉱物の相違点に着目した講義がなされ、岩石の大分類である「火成岩」、「堆積岩」、「変成岩」の定義と産状・成因等について詳細に学びました。また、用意されたそれぞれの岩石標本を実際に肉眼やルーペで観察し、成因の異なるそれら3種類の岩石の違いと分類法に関する実習も行いました。これらの基礎講義に加え、通常の生物顕微鏡とは大きく異なる偏光顕微鏡の構造と原理、および偏光顕微鏡を用いた岩石の鏡下における組織や構成鉱物の光学的性質の観察や同定法についても学びました。

<午後>

   午前中の講義に引き続き、午後は特殊な岩石である隕石や鉱石についての基礎講義と実物標本の観察を行いました。

   予定された講義および実習がおよそ終了した後、本講座に関連するまとめとして、ともすれば「役に立たない物」、「詰まらない物」などの例えに引用される“石”について、実際にはそれらが日常生活の上で著しく人間の役に立っているものであるとの再認識を促す四方山(よもやま)話を興味深く聴講した。

   受講者の感想は、岩石・鉱物に抱いていたこれまでの認識を大きく改める良い機会になったという感想を頂きましたが、一方で僅か2日間の講座では時間が足りなさすぎたということや、今後は今回のように1回限りではなく、段階を経た複数回の講座実施を希望する旨の意見が多数を占めました。