【活動報告】2012年12月15日(土)〜16日(日)鉱床パラタクソノミスト養成講座(上級)

鉱床パラタクソノミスト養成講座(上級)

日 時:2012年12月15日(土)〜16日(日) 10:00〜17:00

場 所:北海道大学総合博物館・共同研究室、薄片作成室

講 師:松枝大治(北海道大学総合博物館)

          鳥本准司(北海道大学総合博物館)

参加人数:4名

スケジュール

15日(土)

10:00〜10:10 開講式

10:10〜12:00 基礎講義

12:00〜13:00 昼食

13:00〜17:00 実習

16日(日)

10:00〜12:00 実習

12:00〜13:00 昼食

13:00〜16:00 実習

16:00〜16:45 測定データ整理と評価

16:45〜17:00 閉講式

講義内容

  パラタクソノミスト講座(鉱床上級)では、鉱床中級講座で実施した鉱石中の鉱石鉱物の反射顕微鏡による定性的同定法とは異なり、新たに硬度・反射率測定顕微鏡を用いた定量的同定法を実習しました。この実習のために、博物館或いは受講者が自分で用意した鉱石標本試料を用いて、研磨片作成実習を行いました。また、鉱床における有用金属元素の移動濃集作用に極めて重要な役割を果たした熱水(高温の水)の性質と起源を探る目的で、鉱石に伴う各種鉱物中に含まれる微細な流体包有物の産状観察および加熱・冷却顕微鏡による均質化温度(生成温度)・塩濃度測定等の検討も行いました。

1日目

<午前>

  開講式では、講師の紹介とパラタク講座の趣旨説明に引き続き、 初級講座の内容とスケジュール説明が行われました。

  ヴィッカース硬度(VHN)および反射率(R)測定(原理と測定法説明等)、流体包有物の産状と測定(水の特性および各種流体包有物の産状の多様性と分類法等)、機器説明(硬度−反射率測定顕微鏡、加熱冷却顕微鏡、鉱石切断・研磨・琢磨装置等)について基礎講義を行いました。

<午後>

  鉱石の研磨片作成(切断・研磨・琢磨作業)、研磨片顕微鏡観察による鉱石鉱物同定と測定ポイントの決定、流体包有物の産状観察と均質化温度・氷点測定試料の決定の実習を行いまいた。
   
   

2日目

<午前>

  硬度−反射率測定顕微鏡による鉱石鉱物のヴィッカース硬度(VHN)−反射率(R)測定、加熱冷却顕微鏡による流体包有物の均質化温度・塩濃度測定の実習を行いました(これらの実習は、受講者全員がローテーションで各実験を自ら実施)。

<午後>

  午前中の実習の続きを行い、今回の各測定実習で得られた結果について、個々のデータの整理と関係図表へのプロット等を行い、結果の評価と考察に加え、相互の比較検討を行いました。

  閉講式では、聴講者全員に対して講座受講認定証の授与を行うとともに、受講者からアンケートの提出及び今後の中級講座予定などについて説明を行いました。

  本上級講座は、これまで実施された鉱床パラタク講座(初級・中級)とはかなり実習内容が異なり、最新の装置等を用いた定量的な講座となったため、当初は初心者にとって多少難度が高い面もあった可能性があります。しかし、本講座を通して鉱石鉱物同定や鉱床の成因的分類に関わる定量的手法を学んだことは、受講者にとっても大変有意義で良い経験になったと思われます。

  受講者との懇談では、今後さらに多様な関連講座の開設を望む多くの声がありました。