【活動報告】2013年9月14日(土)〜15日(日)鉱床パラタクソノミスト養成講座(初級)

鉱床パラタクソノミスト養成講座(初級)

日 時:2013年9月14日(土)〜15日(日) 10:00〜17:00

場 所:北大総合博物館 共同研究室・実習室

講 師:松枝 大治(北大総合博物館 資料部研究員)

参加人数:9名

スケジュール

14日(土)

10:00〜10:10 講座開講挨拶とスケジュール説明、及び講師自己紹介

10:10〜11:00 基礎講義1(鉱床・鉱石の定義と地殻元素存在度)

11:00〜12:00 基礎講義2(鉱床の分類概説と代表的鉱石鉱物)

12:00〜13:00 昼食

13:00〜14:45 講義と実習1(正マグマ、カーボナタイト、ペグマタイト鉱床)

14:45〜15:00 休憩

15:00〜17:00 講義と実習2(花崗岩タイプと鉱床)

21日(日)

10:00〜12:00 講義と実習3(斑岩型鉱床、スカルン鉱床)

12:00〜13:00 昼食

13:00〜14:30 講義と実習4(熱水性鉱脈型鉱床)

14:40〜16:40 講義と実習5(黒鉱鉱床、海底熱水鉱床、マンガン団塊)

16:45〜17:00 アンケート記入、修了証授与式、講座閉講の挨拶


講義内容

1日目

<午前>

   本講座は小・中学生各1名、大学生2名を含む9名の受講者を迎え実施されました。

   最初に本講座の趣旨及びスケジュールについて簡単な説明がなされた後、講師の自己紹介がなされました。

   基礎講義ではまず地殻における元素存在度が説明され、引き続き鉱床と鉱石の定義についての解説が行われると共に、鉱床の分類体系と形成年代及び地質環境についての紹介がされました。また、各種鉱床に伴われる代表的な鉱石鉱物と主要な有用金属元素についての講義もなされました。この一連の基礎講義により、受講生は午後以降に行われる各鉱床タイプや伴われる鉱石鉱物に関する分類や同定のために必要な基礎知識を学ぶことができました。

<午後>

   火成鉱床においては、マグマの特性や冷却過程及び熱水活動様式等により多様な鉱床形成が生じると共に、異なる金属元素濃集過程があることから、本講座ではそれらのマグマ特性や冷却に伴う熱水活動に関連して形成される鉱床・鉱石の分類を行う実習を行いました。

   午後前半は、まず正マグマ性鉱床を起点に、次いでカーボナタイト鉱床、ペグマタイト鉱床についてそれぞれ地質背景や成因・生成環境等の概要を紹介し、それらに伴う鉱石の実物標本観察と鉱石鉱物の肉眼的同定の実習作業を行いました。

   午後後半は、火成鉱床形成に最も重要な役割を果たす花崗岩類について、その分類と花崗岩タイプ(磁鉄鉱型とチタン鉄鉱型)に関する基礎講義及び花崗岩類標本を用いた識別法の実習を行いました。

   翌日の講座内容・スケジュールについて説明が行われて、初日の予定を終了しました。

2日目

<午前>

   昨日に引き続き、2日目午前中は現在では世界的には最大級の鉱床であり、花崗岩固結最末期に生じる斑岩型銅-金鉱床及びスカルン型鉱床について、国内外の実例を紹介しながら、生成環境や鉱化作用の特性について解説し、それぞれの鉱床タイプから産出した実物鉱石標本を用いた肉眼観察と鉱物同定作業を行いました。

<午後>

   午後前半は、一般的な熱水性鉱脈鉱床についてその構造規制や生成条件の多様性等について講義を通じて学び、同鉱床産実物鉱石鉱物の肉眼的同定や産状の観察を行いました。併せて、鉱石等の標本から読み取れる各種情報について、その観察法と解釈等について理解を深めることが出来ました。

   鉱脈型鉱床に関連して、その代表例として我が国における浅熱水性金鉱床に関する実物鉱石標本を用いた講義に加え、関連する周辺話題の紹介があり、受講者は大変興味深く聴講することが出来ました。

   我が国を代表する層準規制型鉱床の例である黒鉱鉱床や現生の海底熱水鉱床及び海底Mn団塊については、残念ながら今回は時間の関係から簡単に触れる程度となり、標本観察も短時間の実習となりました。

   最後に講座修了証の授与式が行われ、講座閉講挨拶と今年度開催予定のパラタク鉱床講座(中級・上級)の 簡単な内容紹介がなされ、全講座を終了しました。

   受講者は、本講座の受講を通じて将来的に人類にとって最重要課題である「資源と環境問題」に関して、改めて考え直すことを喚起されました。