【活動報告】2014年7月12日(土)〜13日(日)昆虫パラタクソノミスト養成講座(初級)

昆虫パラタクソノミスト養成講座(初級)

日 時:2014年7月12日(土)〜13日(日) 10:00〜16:00

場 所:北大総合博物館・共同研究室

講 師:澤田 義弘(大阪府箕面公園昆虫館 非常勤職員)

           稲荷 尚記(北海道大学総合博物館 資料部研究員)

           大原 昌宏(北海道大学総合博物館 教授)

参加人数:9名

スケジュール

12日(土)

10:00〜10:15 講座内容の説明と自己紹介

10:15〜12:05 講義(前半と後半の間に5分休憩を挟む)

12:05〜13:00 昼食

13:00〜13:15 展示見学

13:15〜15:00 野外採集

15:00〜16:00 採集サンプルの処理と標本作製(ダブルピン標本)

13日(日)

10:00〜12:00 標本作製(展足標本、三角台紙標本)

12:00〜13:00 昼食

13:00〜15:00 標本作製(展翅標本)

15:00〜15:50 採集標本の同定

15:50〜16:00 修了証授与、集合写真撮影、片付け


講義内容

1日目

<午前>

  本講座は9名の受講生を迎え開講されました(1名欠席)。最初に本講座の目標と時間割を説明し、講師と参加者がそれぞれ自己紹介をしました。

  午前中は、二人の講師が昆虫の分類群についてそれぞれの専門分野の視点から説明しました。前半は澤田講師が担当し、家屋害虫など人間との関わりの深いグループを中心に説明したのち、5分休憩をとりました。後半は大原講師が担当し、昆虫の各グループの形態について、化石記録などを含めた進化的な視点から説明しました。

<午後>

  昼休みの後、まず共同研究室で野外採集の道具を各参加者に渡したのち、一階の展示室(循環から見る自然と人)に行き、マレーズトラップなど野外での昆虫採集用トラップや、それらを用いた野外実験の意義について簡単に説明しました。 

  その後、外に出て博物館、大野池、弓道場の近くの草地や林縁などで昆虫を採集しました。土壌をふるいにかけたり、捕虫網を用いたスイーピング、ビーティングなどの手法を実践し、雨が降ってきたところで採集を中止しました。

  室内に戻り、まず採集した昆虫を傷めないための保存処置を説明しました。そして特に傷みやすい小型のハエ目昆虫について「ダブルピン標本」という標本の作製方法を澤田講師が実演した後、参加者が実際に作製を始め、終了時刻まで作業を続けました。
   

 

   


2日目

<午前>

  前日に採集した昆虫の中から、まずは大型の昆虫の展足標本について、次に小型の甲虫類などの三角台紙標本の作製について、それぞれ講師が実演して見せ、その後参加者が自分で採集した昆虫を用いてそれらの標本作製に取り組みました。

<午後>

  昼休みののち、チョウやガなどの展翅標本について、午前中と同様の手順で標本作製に取り組みました。

  15時からは配布資料の検索表を使って、採集した昆虫がどの「目」に分類されるかを同定する作業を行いました。昆虫の体の部位がどのような形態をしているか、実体顕微鏡を使って詳しく観察し、アザミウマ目など普段観察する機会の無いグループも含めて12目ほどの昆虫を確認(同定)しました。さらに、採集が困難なグループについても、博物館の所蔵標本を用いてその特徴を観察しました。

  最後に修了証授与と集合写真撮影、実体顕微鏡の片付けをし、講座の全日程を終了しました。なお、希望する参加者には、今回キャンパス内で採集して自分で作製した昆虫標本を持ち帰ってもらいました。