受講生よる授業考察 博物館コミュニケーション特論 III ミュージアムグッズの開発と評価

博物館コミュニケーション特論IIIを受講した考察レポート

 

受講生がミュージアムグッズを制作しショップで販売するまでのプロセスを実践的に学びました。

この授業は、ミュージアムマイスターの社会体験型コースにも指定されており、社会との関わりを重視しています。授業の中でグッズを開発し販売するというユニークな試みを受講生はどのように受け止めているのか、各自の考察を以下に紹介します。


今回の集中講義では3日間で新グッズ案を具体的な企画書に固めていく作業が必要とされた。時間制限の中で意見をまとめていく必要があったが、私が入ったコースター班は3人と一番人数が少なく、授業の前段階でも打ち合わせが比較的しやすかったこともあり、スムーズに話し合うことが出来たように思われる。授業の最中には意見の食い違いや、考えが足りなかった点などが明らかになるなどいくつか問題もあったが、きちんと話し合い対処することにより解決していくことが出来た。時間制限を考えれば社会貢献の意義やキャッチコピーについては事前に深く考えておく必要があっただろう。キャッチコピーや商品名、売り方の重要さには授業を受けることで改めて気付かされた点である。お互い得意な分野を担当し、(作業前に話し合いを行って)作業を分担したことも効率的に進めることの出来た要因となったが、作業前に話し合うだけではなく、一人一人が作業した結果に対してより深く話し合い改善していくことが出来れば、よりよい提案を行うことが出来たかもしれない。企画を練るだけではなく、練り直していく作業が重要であること身を持って学んだ。

(文学研究科修士1年 ?原 彩)


今回の集中講義を通じて、ミュージアム・グッズ開発において最も重要なことはミュージアム・グッズとしての成功とビジネス上の成功の両立であると考えた。当初私は、グッズに期待される役割とは来館を通じて得られた知識や体験を深め他者と共有する助けとなることだと固く信じていた。しかしショップの店長とエルム・プロジェクトの担当者と面会して、ビジネス上の成功も期待されていることを学んだ。博物館活動が限られた財源のなかで行われていることからも当然の要求である。ミュージアム・グッズはその特性上、館内のショップとオンライン・ショップのみの取り扱いとなる。在庫リスクを考慮すると、市販の商品のように大量生産による原価抑制という道は閉ざされている。したがって制作に高度な技術を要する凝ったものではなく、北大総合博物館ならではのアイディアで勝負する必要がある。デザインのみならず広報や販促活動にも同様の意識を持って臨みたい。

(文学研究科修士1年 小林知恵)


今回の集中講義は、総合博物館ミュージアムショップで販売するグッズの開発というコンセプトであったが、グッズの開発というよりはむしろグッズに対するデザインの発案という内容になっていたと感じた。与えられたグッズ案(今回は4種あった)の中で、デザイン・材質・仕入・販売価格の設定を各グループで話し合っていく内容である。本講義では商品案を具体化していく過程で、グループワーキングの手法を各自で学び取り、グッズ開発に対する多角的な観点(コンセプト・発想・独自性など)からマネジメント能力を養えた。だが、講義期間が3日しかなく、事前のグループ内での打ち合わせ等がなければ商品のプレゼンテーションを行うのは難しかったであろう。集中講義で行うような内容ではなかったのではないだろうか。また、講義後における商品の評価などの手法・過程に関しても曖昧な部分も多く、学生も戸惑いを隠せなかったのではないだろうか。

(理学院物性物理学専攻修士1年 吉川一真)


私は今回の授業でデスモスチルスの付箋を制作するグループに入り、限られた時間の中で商品を企画・販売するに至る過程を体験した。付箋のデザインや商品化への見積もりなど商品自体を制作する過程は高木さんや小林さん達の努力のおかげで形にはなったが、実際に商品が店頭に並んだ時にどう販売を促進するかなどの点においては効果的な案には及ばなかった。このグループでは販売促進のためにイベントなどを企画して注目してもらうと提案したが、これは限定された期間だけ効果的な案であって、その期間外での販売促進においては有効ではない。長期間安定して売れ続けるための効果的な商品名やキャッチコピーを考える必要があり、そのためには自分達の生活の中で何に惹かれて商品を手にしているのかを意識してみるといい案が浮かぶと思う。良い物を作るだけではなく、それをどう伝えるかが欠けていたので、これから修正していきたい。

(古井私は付箋班でグッズの制作に取り組んだ.この授業の中で学んだことは,博物館に合った新しい商品を考え出すことの難しさと楽しさである.どのようなコンセプトで博物館の何を知ってもらいたいか,それを知ってもらうためにはどのような形で商品を作るか,一般に販売されている付箋との差別化を図るためにどのようなコンセプトで制作するかを,グループで話し合いながら取り組んだ.その際,ただ自分が「いいと思う」あるいは「欲しい」から発案するのではなく,買う人の立場で考えながら発案しなければならず,事前リサーチをもっとしておけば良かったと感じた.さらにコスト等を少なくするために,デザインの中で譲らざるを得ない場面もあり制作の難しさを知った.しかし新たな商品の開発は私にとって初めての経験であり,グループで話し合い案を出し合いながら,一つの製品を作り上げていく楽しさを感じることができた.この経験を将来生していきたいと思う.

(理学院自然史科学専攻 修士1年 古井 空)


私は付箋班でグッズの制作に取り組んだ。この授業の中で学んだことは、博物館に合った新しい商品を考え出すことの難しさと楽しさである。どのようなコンセプトで博物館の何を知ってもらいたいか、それを知ってもらうためにはどのような形で商品を作るか、一般に販売されている付箋との差別化を図るためにどのようなコンセプトで制作するかを、グループで話し合いながら取り組んだ。その際、ただ自分が「いいと思う」あるいは「欲しい」から発案するのではなく、買う人の立場で考えながら発案しなければならず、事前リサーチをもっとしておけば良かったと感じた。さらにコスト等を少なくするために、デザインの中で譲らざるを得ない場面もあり制作の難しさを知った。しかし新たな商品の開発は私にとって初めての経験であり、グループで話し合い案を出し合いながら、一つの製品を作り上げていく楽しさを感じることができた。この経験を将来生していきたいと思う。

(理学院自然史科学専攻修士1年 古浦正太郎)


ミュージアムショップの商品開発で重要なのは、「制約を逆手にとる」ことではないだろうか。

ニーズと価格と学習効果の3点を追求すると、コスト・初回ロット数・画像プリントの可否という制約に阻まれた。ここで足りなかったのは「大手ではないなりの“勝ち方”を考える」という発想だった。角度を変えて、制約があるからこそできることをもっと考える必要があったのだろう。

その点、福祉作業所への委託は逆手といえるものであるかもしれない。初回ロット数が少量で良い点は他業者にない特徴であり、地域との連携を実現することにもつながる。

しかし、実際には素材やプリント方法、発注量の上限といった限界が現れた。幸い依頼可能な作業所が見つかったものの、商品化後に当方の希望初回ロット数・納期では生産困難と判明した場合は製作委託を断念せざるを得ない。

発展途上である我々の企画のどこかに「制約を逆手に取る」余地はないか。模索はまだ続きそうだ。

(理学院自然史科学専攻博士1年 沼崎麻子)


総合博物館ミュージアムグッズを開発するため、学んでいる分野が異なる方々と話し合い、今までにない新たな発想から商品を企画することが出来た。

そして、商品を分かりやすく、お客様が手に取っていただけるように商品に付与する解説文とその提示方法やコンセプト、また、ターゲットや総合博物館のグッツとしてのオリジナル性など商品を開発するうえで必要なことを学ぶことが出来た。

ミュージアムグッズの企画を提案するまでの過程では、チームの中でお互い意見やアイディアを出し合いながら企画を立案し、さらには広報の戦略やデザインなど1枚の企画書として書き上げた。

このような経験はこれからさまざまな企画を立案する場合には役立つ内容であり、チームで協力し、企画力を高めることが出来た貴重な経験となった。

(国際メディア・観光学院観光創造専攻修士2年 田村こずえ)


この集中講義を受けて、ミュージアムグッズを企画するという難しさと面白さを感じることができた。

ミュージアムグッズの役割は、展示内容の記憶の定着を促し、誰かにその博物館に行ってみたいと思わせることだろう。また、企画する商品は、自分が欲しいと感じるだけではなく、ミュージアムの特色を持ち、ミュージアムを訪れた人が「買いたい」と思うものでないといけない。私が考えるミュージアムショップで「買いたい」ものは、実用性がある、オリジナル性がある、面白い(格好いい)もの、と考えた。今回、ふせん班で企画するにあたり、北大総合博物館を表現できるものは何か、コスト(販売価格)、販売対象、キャッチフレーズ、宣伝方法はどのようにするかなど、様々なことを考えることができた。

ふせん班は、2班に分かれているが、協力しつつ、また、それぞれの個性を活かしているものを仕上げていきたいと思う。

(環境科学院環境起学修士1年 高木優風花)