1-3-5.エンマムシ亜科 Histerinae

 エンマムシ亜科は4族:エグリエンマムシ族・ヒラタエンマムシ族・ナガエンマムシ族・マルエンマムシ族(Omalodini)・エンマムシ族に分類され,約1,600種が含まれる最大の亜科である.日本からは4族10属47種が知られる.触角窩が腹面から覆われる亜科のなかでは最も派生的.上唇の刺毛を欠くことで区別される(一部のアリヅカエンマムシ亜科も欠く).族間のグルーピングは (Exosternini (((Omalodini, Platysomatini) Hololeptini ) ( Histerini ) ))のようになるであろう(一部はOhara et Nakane, 1989に発表).Mazur (1990)は族までの検索を示しており(訳:大原,1993),グルーピングは同じような結論に達している.特にエグリエンマムシ族はきわめて祖先的な族で,他亜科と詳細な比較をした後,ランキングを整理する必要があると思われる.


族・属までの検索

1(6) 前脛節のフ節を受ける溝はS字状.

2(3) 頭は,体にたいして水平にしまわれる. ...........  ヒラタエンマムシ族

........... ヒラタエンマムシ属

3(2) 頭は,体にたいして垂直にしまわれる............ ナガエンマムシ族

4(5) 体は長楕円形............ ナガエンマムシ属

5(4) 体は卵型............ マルナガエンマ属

6(1) 前脛節のフ節を受ける溝は直線状.

7(10) 中胸腹板前縁は波状となり,その中央は前方へ多少なりとも突出する............  エグリエンマムシ族

8(9) 体は赤色............. キノコアカマルエンマムシ属

9(8) 体はブロンズ色. ...........  チュウジョウチビエンマムシ属

10(7) 中胸腹板前縁は中央が後方へ波状にへこむか,ほぼ裁断状.突出部位をもつことはない............  エンマムシ族

11(18) 中胸腹板前縁は中央が後方へ波状にへこむ(ツヤマルエンマムシでは,ほぼ直線状.しかし前胸背側条は2本で,鞘翅には短く深い外副肩条をもつことで区別できる).

12(17) 鞘翅の外副肩条は不完全.

13(16) 前胸背の側条は2本.

14(15) 前胸背と鞘翅表面は普通で,大きく深い点刻で覆われることはない............  クロエンマムシ属

15(14) 前胸背と鞘翅は大きく深い点刻を全体にそなえる. ...........  アラメエンマムシ属

16(13) 前胸背の側条は1本. ...........  エンマムシ属

17(12) 鞘翅の外副肩条は完全. ...........  ヒメエンマムシ属

18(11) 中胸腹板前縁はほぼ裁断状で,わずかに前方へ弓なりに突出する............ ムナクボエンマムシ属


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