1-3-5-1 エグリエンマムシ族 Exosternini

 世界に38属約400種.日本からは2属2種が知られるのみ.オーストラリア区を除く全世界に分布する.アフリカに分布の中心があり,きわめて多様な属に分けられている(大原,1990).一部の属は中南米において種レベルでよく分化し,Phelister属では既知種だけで120種に達している.東洋区からは11属が知られ,その一部2属が極東・日本まで分布を延ばしている.検索で示した「中胸腹板前縁中央の突出」の形質状態ほかには共通の派生形質状態は見い出されず,「単純な前脛節」などの共有な祖先形質状態でまとめられたグループという気がする.日本にあまり分布しない分類群なので検討が難しいが,エンマムシ亜科周辺の系統関係を探る上で重要なグループである.


キノコアカマルエンマムシ属 Notodoma Lacordaire, 1854

 世界に11種.日本からは1種が知られる.東南アジアから日本まで分布.菌類に集まる.

キノコアカマルエンマムシ(図2A)

Notodoma fungorum Lewis, 1884

 図説 N: 70; 図説 H: 226; Ohara & Nakane, 1989: 28.  赤い体に鞘翅基部の黄色い紋をもつことで他種と区別できる.分布:北海道,本州,四国,九州,伊豆諸島,南西諸島(屋久島,種子島,トカラ中ノ島).台湾.


チュウジョウチビエンマムシ属 Binhister Cooman, 1934

 ベトナムのbarbarusと日本のchujoiの2種からなる.

チュウジョウチビエンマムシ(図2B) Baconia (Binhister) chujoi (Cooman, 1941)

 図説 N: 68; 図説 H: 226; Ohara & Nakane, 1989: 290; 平野, 1995: 4 [北海道].

 暗いブロンズ色の体色で区別できる.カワラタケ類に生息.分布:北海道,本州.


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