1-3-10 ツツエンマムシ亜科 Trypeticinae

 小さな亜科で3属を含む:Trypeticus属,Pygocoelis属(10種;アフリカに分布),Trypobius属(2;アフリカ中,西部).近縁な亜科としてニセツツエンマムシ亜科 Trypanaeinae があり,3属75種が中南米から知られる.これらの2科は比較形態の結果などからクロツブエンマムシ亜科の族として扱う方が妥当のようである(未発表).


ツツエンマムシ属 Trypeticus Marseul, 1864

 世界に34種,日本からニューギニアまでの東南アジア,インド,スリランカに分布する.森林害虫であるキクイムシの捕食者.日本には2種が分布するが,標本が十分ではなく,さらに検討が必要である.


1 (2) 前胸腹版に側条はない.次種より太く大型............................................... ツツエンマムシ

2 (1) 前胸腹板に側条をもつ............................................................. ホソツツエンマムシ


ツツエンマムシ(図1, 3)

Trypeticus fagi (Lewis, 1884)

 図説N: 67; 図説H: 224; hara, 1994: 268 [再記載,♂交尾器].

 キクイムシの幼虫を捕食する.筒型の特異な形態をしたエンマムシのため他種と間違うことはないであろう(図1).同じキクイムシの捕食者で体形の似ているナガエンマムシとは,前胸腹板の触角をしまう溝の構造から容易に区別される.またホソエンマムシ属とは頭部に角をもたないことで区別できる.性的二型(図3A-D)があり,雄の頭部は平滑でややくぼむ.雌は縁条をもち強く凹み,前胸背前方中央にも隆起がある.分布:北海道,本州.沿海州?

ホソツツエンマムシ

Trypeticus venator (Lewis, 1884)

 図説H: 224; hara, 1994: 267.

 標本未検討.分布:本州,九州.台湾.


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