1-3-8-1 クロツブエンマムシ族

Tribe Abraeini

 世界に4属39種.日本からはクロツブエンマムシ属3種(1未確定種を含む)が知られる.このほかにAbraeus属の未記録種が1種いる.


クロツブエンマムシ属

Genus Chaetabraeus Portevin, 1929

 以前はAbraeus属の亜属とされていたが,Mazur (1989)により属へ昇格された.Abraeus属とは次の形態,生態的特徴で区別できる:(1)前尾節が縦長で五角形をしていること,(2)背面が強く凸状となりたいていは黒褐色か黒色,(3)動物の糞や死体,植物腐敗物にすむ.背面に刺毛を散布し特徴的である.

1(2) 前胸腹板の両側には深い凹陥をもつ  ............ クロツブエンマムシ

2(1) 前胸腹板の両側に凹陥はない.

3(4) 体は小さく1.37 - 1.64ミリ;黒色で赤い金属光沢をもつ;脚は赤褐色.  ............  コクロツブエンマムシ

4(3) 体は大きく1.84ミリ;黒色で緑色の金属光沢をもつ;脚は黄褐色.   ............ クロツブエンマムシ属の一種


クロツブエンマムシ (図8A)

Chaetabraeus bonzicus (Marseul, 1873)

 図説H: 225; Ohara, 1994: 204 [再記載,♂交尾器].

 牛,犬,人糞に集まる.分布:北海道,本州,四国,九州.

コクロツブエンマムシ (図7A,8B)

Chaetabraeus cohaeres (Lewis, 1898)

Ohara, 1994: 208.

 牛糞に集まる.前種に比べ小型.香港が模式産地.分布:南西諸島(屋久島,トカラ中之島,トカラ宝島,与那国島,西表島).台湾.香港.

クロツブエンマムシ属の一種

Chaetabraeus sp.

Ohara, 1994: 209.

 前2種に似るが,前胸腹板の凹陥を欠き,コクロツブエンマムシより体サイズは大きく,クロツブエンマムシと同じほど.しかし後胸腹板中央の点刻は後者より密,全体に緑色の金属光沢をもつ.一個体しか採集されていないため保留となっている.体長 1.84ミリ.分布:西表島.


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