【12月1日開催】 バイオミメティクス市民セミナー (第84回) – 『北海道とバイオミメティクスを考える その8動物と人との関係誌』

一番小さな哺乳類 トガリネズミのお話

トガリネズミ類はネズミと名が付きますが齧歯類ではなく、真無盲腸目というモグラやハリネズミの仲間に属します。トガリネズミ類では世界最小の陸棲哺乳類とされる種が少なくとも3回、独立に進化しています。また哺乳類としては珍しく、毒を持つ種がいくつか知られています。一方、北方系のトガリネズミ類は基礎代謝率が非常に高く食物要求量が高いにもかかわらず極寒の地でも冬眠をせずに越冬します。この不思議が一杯の真無盲腸目哺乳類に私は魅了され、その生態と進化を明らかにすべく30年以上、様々な側面から研究をつづけております。

大舘 智志(北海道大学低温科学研究所・大学院環境科学院 助教)

<略歴>
1996年~1997年 日本学術振興会特別研究員
1997年~2007年 北海道大学低温科学研究所 助手
2007年~ 北海道大学低温科学研究所 助教
この他、京都大学大学院、東海大学、酪農学園大学などで非常勤講師

受賞
2011年度および2017年度、日本哺乳類学会論文

トウキョウトガリネズミが私たちに語ること

世界最小級の哺乳類であるトウキョウトガリネズミは、1903年に初めて捕獲されてから約100年間同一地点で捕獲されたことはなく、偶然でしか捕獲できないと評された幻の種でした。近年は同一地点での捕獲が可能になり、生態が徐々に判ってきました。すると、これまでの本種に関する知見には思い込みとも言える解釈が多く、それが本種との出会いを阻んできたようです。本種の最新情報の紹介を通して、得られた断片的な現象をどのように捉えるかについて考えてみたいと思います。

河原 淳(環境省希少野生動植物種保存推進委員)

<略歴>
1988年~ 酪農学園とわの森三愛高等学校教諭
1991年~ 株式会社たくぎん総合研究所環境調査部(環境調査)
1998年~ 株式会社野生生物総合研究所設立 取締役(環境調査)
2006年~ 特定非営利活動法人霧多布湿原トラスト事業部長 兼務 北海道厚岸郡浜中町立霧多布湿原センター館長(自然保護・環境教育、地域振興)
2011年~ 特定非営利活動法人えんの森設立 事務局長(環境保全と地域づくり)
2013年~ 環境省北海道地方環境事務所 環境対策課 環境影響審査調査官

(その他)
2001年~2012年 酪農学園大学非常勤講師
2007年~2012年 釧路国際ウェットランドセンター技術委員会技術委員
2012年~ 環境省希少野生動植物保存推進委員

日時

2018年12月1日(土)14:30 ~ 16:00

講師

大舘 智志(北海道大学低温科学研究所・大学院環境科学院 助教)

河原 淳(環境省希少野生動植物種保存推進委員)

会場

北海道大学総合博物館 / 1F「知の交流」
札幌市北区北10条西8丁目

主催

北海道大学総合博物館

共催

高分子学会北海道支部

北海道大学電子科学研究所

特定非営利活動法人バイオミメティクス推進協議会

協賛

千歳科学技術大学バイオミメティクス研究センター