運営担当学生による事後考察レポート(3/24更新)

本プロジェクトには、文理を問わず様々な学部・大学院の学生が参加しています。

それぞれ2回ずつ運営を担当し、広報ポスターやセミナーの司会進行を務めています。

運営を担った学生の事後考察をご紹介します。

 

時永 万音(総合教育部1年)

・第5回「地球深部にひそむ隕石をさぐる」

・第9回「記憶の中の科学館〜50年前から紡がれる科学館体験〜」

この2回のセミナー運営は、今までに経験したことのない貴重な経験だった。ポスター制作や担当教員の方とのメールでの連絡のやりとり、そして司会進行などの運営は初めてのことだった。博物館に関心があり、また人前に出て話す積極性を培いたいと思い、この運営に参加した。

セミナーでは毎回、北海道大学総合博物館の先生方が講演され、1つのテーマに特化したお話を聞かせていただいたり、自ら司会をさせていただくことで博物館により親しみを感じ、興味が深まった。ポスター制作では、レイアウトや色使いを工夫し、イメージをポスターに反映させることは予想以上に難しかった。司会進行では、原稿を見ながらも視線や話すスピード、話の区切りを意識して取り組んだ。これらはやりがいのある作業であるが、やや行き詰ることもあったが、とても楽しくもあった。今回のセミナーを通して得た経験を今後の活動にも活かしていきたい。

また、特に印象に強く残っているのは多くの方と出会えたことである。北大総合博物館のボランティアの方々や、他大学の学生の方も本セミナーに参加してくださった。そういった方々に話しかけていただき、貴重なお話を伺う機会もあって、これもこのセミナー運営に参加していなければできなかったことだと感じた。セミナー運営を通して、本当に充実した経験ができたことが自分なりの博物館の思い出である。

 

小野寺 翔太(水産学部1年)

・第7回「日本海は進化のゆりかご−海藻と貝形虫−」

・第8回「北海道大学総合博物館所蔵―昆虫標本について―」

土曜市民セミナーの運営に参加してたくさんの発見と学びがあった。初めての活動はポスター制作であったが、担当の先生方との綿密なやり取りの中で、メールを送る際の注意といった基本的なマナーから、ポスターを制作する際の配置や配色、来場する方がどのような視点からセミナーを見に来るか、といった点までさまざまに考えることができた。また、セミナー本番では司会を務め、来場した方々に聞こえやすいように工夫したり、満足していただけるような進行を心がけた。

もちろん、すべてがうまくいったわけではない。ポスター制作に関しては、指摘を受け、修正を繰り返し、担当の先生と何度もやり取りを交わした。セミナー当日も緊張してうまく言えなかったのではないかと、不安になる時もあった。それでも先生方や同じセミナーの担当者のおかげで、最後まで活動することができた。

今までは参加する側であったが、活動の一端ではあるものの、博物館の活動に実際に携わるとともに、運営に参加することによって、舞台裏での多くの方々のご協力によって、セミナーが成り立っているということを実感することができた。今後も、今回の経験から学んだことをもとに、様々な活動に挑戦していきたいと思う。

 

杉谷 紬(文学部1年)

・第2回「ナスカの地上絵を鳥類形態学と動物考古学から考える」

・第8回「北海道大学総合博物館所蔵―昆虫標本について―」

二回の土曜市民セミナーの運営に携わった経験は私にとって非常に有意義で貴重なものだった。セミナーの運営は私にとって全く初めての挑戦であり、戸惑うこともしばしばあった。そのなかで運営を進めてゆくにあたり特に感じたのは円滑なコミュニケーションの重要性であった。

担当する土曜市民セミナーは一時間半ほどの短いものであるが、その準備は二か月ほど前から始まる。その間には同じセミナーの担当者、ご指導くださる先生・職員の方々、講演者の先生との間で幾度もやりとりの積み重ねがあった。目上の人とともに物事を進めてゆくことには緊張感が伴い、自身の未熟さに気づくことも多く、常にどのような対応がよりよいかを考えさせられた。また、同じセミナーの担当者との連携の大切さも感じた。

セミナー運営は大変なことでもあったが、同時にとてもやりがいのある役目であり、セミナーに来てくださった方々を見ての喜びもひとしおだった。この度学んだことを活かして、これからまた新たな機会に挑戦してみたいと思っている。

 

森本 智郎(理学部1年)

・第6回「恐竜の鳥化―脳、内臓、翼の進化―」

・第7回「日本海は進化のゆりかご−海藻と貝形虫−」

学芸員志望である私は、入学後すぐにミュージアムマイスター認定コースに登録し、その際に土曜市民セミナーの運営に参加することも決めた。博物館の仕事を 漠然としかイメージできていなかった私にとって、セミナーの運営という仕事の一端を経験できたことは、とても貴重なことであった。

セミナーの宣伝ポスターの制作にあたっては、運営を一緒に担当する学生が一度経験していたために具体的なアドバイスを貰え、自信をもって提出したが、博物 館の担当教職員の方々から返ってきたコメントは厳しいものであった。だが、それによって自分の考えの甘さを実感した。文字のフォントやサイズ、行間など、 気を付ければそれだけ見やすくなるポイントを甘く見ていたことに気付かされたが、その反省を2回目のポスター制作には活かすことができた。また、他のポス ターを見る際にも何となく眺めるのではなく、工夫している点を考えて見るようになったことも、ポスター制作を経験したからこそである。

この3ヶ月間の活動を通じて、「人に伝える」ことの大切さ、難しさを学んだ。それはポスターでの視覚の面と、司会進行での聴覚の面の両面においてである。学芸員だけでなく、どのような立場であっても大切になる力であるから、これからも学び、磨いていきたい。

 

  河村 眞美(水産学部2年)

・第2回「ナスカの地上絵を鳥類形態学と動物考古学から考える」

・第6回「恐竜の鳥化―脳、内臓、翼の進化―」

私は、この活動は、自分達学生の中だけで解決するものではなく、外へと目を向け、行動していかなければならないものだったと考察する。活動を終え、その難しさを学ぶことができた。

初めてポスター案を提出し、先生方のアドバイスを受けた際は、見る側の視点に立てていなかったと気づかされた。見る人の視線の誘導技術は大変興味深かっ た。細かなところまで細心の注意を払って、ポスターのような広報はなされているのだと考えさせられた。特に、バランスは大切だ。作っているときは特に気が つかなくても、印刷し客観的に眺めてみると、いかに目立つかがわかった。この活動を経て、私は、ポスターや展示を見る際、どのように人の視線が集まるか、 その制作者の工夫に以前より注目するようになった。

また、司会の際は、参加者の様子など全体に気を配らねばならない。当日は、緊張もあり、なかなか追いつかず、アドバイスを受けることも多かった。しかし、 この経験を受け、運営において、周囲の何に気をつけ、どう行動すればよいのか学ぶことができた。この経験を活かし、これからもっと自分の行動を客観的にと らえられる目を養っていこうと考える。

 

日下 葵 (理学部4年)

・第3回「超巨大噴火に備えるには」

・第5回「地球深部にひそむ隕石を探る」

自分が専攻する学問分野について、先生方が市民の方々にどのように説明をするのかという点に強い関心を持ち、土曜市民セミナーの運営の参加を決めた。

まず驚いたことは、参加したいずれの講演にも100人近い市民の方が参加し、熱心に話を聞いていたことである。専門家による解説の場を、市民の方は必要と しているのだということを知った。大学での勉学は、専門家同士の中で行われる、大学の中に閉じられた学びであると感じることが多かったが、このように社会 と学問のつながりを見ることができ、非常に刺激的な経験をさせていただいた。自分も学んできたことを大学の外にいる方々に知っていただく機会を持ってみた い、と感じた。

セミナー当日の司会進行の準備を進めていく中で、このようなセミナーには講師の先生はもちろん、その他に司会進行や広報、事務的な準備を行う人など、すな わちセミナーの環境作りの役割を担う人が必須であることを改めて学んだ。実際の司会進行では、質問タイムの際に特に難しさを実感した。挙手をしている方々 をどのような順番で指名するか、その場その場の判断が必要とされたためである。自分にはこのような力がまだ足りていないのだということを痛感した。

また、広報のためのポスター制作では、いかに必要な情報を抽出し、インパクトのあるレイアウトで道行く人の目を引くかという点にこだわった。特に第5回セ ミナーのポスター作成では、同じく運営担当だった時永さんと共にレイアウトを熟考し、納得のいくものを作るまでに多くの時間をかけた。セミナーに来場され た方の中で、ポスターを目にして来場を決めた方がどれくらいいらっしゃったのかが気になる。

 

川名 桃子 (薬学部2年)

・第1回「利尻・礼文の植物保全研究―人間はどこまで自然に手を出せるのか―」

・第4回「深海魚場開発調査で得られた魚類〜インドネシア沖インド洋〜」

各1カ月間、7月と10月の土曜市民セミナー運営担当としての仕事は、私に新しいことを作り上げるという貴重な体験をもたらしてくれた。7月の運営では、今年度初の開催であったため参考にできる情報が少なく、準備段階で先生方から助言をいただき、多くの試行錯誤を重ねた。2回目となった10月の運営では、7月に学んだ作業の進め方を活かして円滑に講演会の準備を進めることができ、経験したことを次へ活かすことの大切さを学んだ。

また、両日ともに博物館が休館中であったにもかかわらず、多くの市民の方にご参加いただき、宣伝の効果が感じられたが、一方で、学内からの来場者が少ないという点については、反省すべき点であると感じた。学生の来場者が増えることは、市民の方と学生が関わる機会の増加や、講演後の質問、聴講姿勢を通して互いに良い刺激を受けることに繋がると考えられるため、学内への情報発信も重視すべきであったと考える。今回の運営で得た経験を活かして、今後も積極的に様々な活動に取り組んでいきたい。