授業報告 博物館コミュニケーション特論 I 第8回 6月 9日

授業前日に行われた博物館の教員へ行ったプレゼンテーションが終了し、学生企画をスタートさせることとなった。本日の授業では、まず、このプレゼンテーションを担当した3名の受講生(久保、手島、増田)から報告がなされた。博物館からは、リニューアルオープンということもあり、かなりの混雑が予想されるため、サポートスタッフの立ち回り方やチケットの配布方法等をより深く考える必要があるとのコメントをいただき、今後打ち合わせていくこととした。
本日の授業には、博物館の4Dボランティアとしても活躍された北大大学院理学院の修了生で、現在は山梨県立科学館で天文担当の学芸主事を務められている井上拓己さんがゲストとして参加下さり、科学館での来場者対応への留意点について説明していただいた。また、大学博物館の授業での実践や4Dシアターの活動を振り返り、チャレンジ精神をもった学生の背中を押してもらい、実践的で意味ある体験ができたことの意味を語り、受講生にエールを送って下さった。
続いて、教室から展示室に移動し、総合博物館の展示解説ボランティアとして解説経験の豊富な北大大学院理学院博士課程の田中公教さんと高崎竜司さんに、実際に展示解説を行っていただいた。お二人とも、総合博物館の小林快次先生のもとで古生物学を研究している。解説の後には、来館者への対応について質疑応答した。先輩方からは「相手のバックグラウンドによって話の内容や話し方を変えていく」、「わからないことはわからないとはっきりいう」というコメントをいただいた。また、湯浅先生からは、まず自己紹介することによって、画一的な解説ではなく、その人が語る解説を聞きたいという気持ちを持っていただくことの重要性や、個人的なコメントであるか、博物館の公式な見解であるかははっきり区別すること、研究や博物館活動に関連したエピソードなど、その解説者からしか聞けない話も盛り込むとより魅力的になるといったコメントをいただいた。解説に臨む重要なポイントを意識できたように思う。

その後、教室に戻って議論を進めたが、湯浅先生より、実際に博物館の館内概要だけを解説するツアーを行った場合、どれくらいの時間がかかるのかを体感したほうが良いというアドバイスをいただき、実際に湯浅先生に展示案内を行っていただいた。その結果、館内の概要説明、展示室などの紹介だけで、順路全てを巡るのに、約
15分かかることがわかった。今回の企画ではツアー時間を20分としていたが、このままでは展示物を詳しく説明する時間が5分間しかなくなってしまうことがわかった。そのため、20分間で、いかに学生らしさを出した博物館内の解説ツアーをするにはどうするべきか、議論を行った。現在、案として、基本的な順路だけ決めておき、ガイド役の学生が得意な展示や解説したい展示を選んで、集中的に紹介することパターンと、5分・10分・20分と時間のパターンを決め、館内の巡り方を変えるというターンの2つが挙がった。 まだ検討を重ねねばならない。次回以降の授業では、ツアーの基本ルート、チケットのデザイン・枚数、衣装、評価デザイン等を決めていく必要があるが、メンバーのバックグラウンドや得意分野を活かして、役割分担しながら打ち合わせをする必要があると思われる。

以上の課題を検討することと並行し、来週と再来週は、藤田先生のご提案によるビデオレッスンを実施し、話し方や立ち居振る舞いを客観的に見て改善する実践も行うことになった。
2分間で、自己紹介と博物館の紹介を行う。話す内容を考えてくることが宿題となった。全員が展示解説の素人のため、初めはあまりうまくいかないかも知れないが、来館者の方に満足してもらえるような展示解説ができるよう、練習を積み重ねていきたい。

(理学院自然史科学専攻 科学コミュニケーション講座 修士課程1年 手島駿)



博物館教員へのプレゼンテーション(6月8日)


学生企画の内容を説明し、アドバイスをもらう(6月8日)


古生物標本が並ぶ展示室


標本の研究者についても解説する高崎さん


田中さんは展示物にまつわるエピソードも披露


展示解説のコツをメモする受講生達


順路通り館内を巡り、展示解説の時間を計測した


アインシュタインドームでの展示解説


博物館改装により新設されたエリアも見学する受講生達