2025年度卒論ポスター発表会 発表者・運営スタッフの事後考察
2026年2月28日(土)・3月1日(日)に開催された2025年度卒論ポスター発表会で、ポスター発表をした学生と運営に携わった学生の事後考察をご紹介します。
発表会当日の様子はこちらをご覧ください。
<発表者の事後考察>
『札幌にドカ雪をもたらす“⼩さな低気圧’’は予測できるのか? -AIで探る⽯狩湾⼩低気圧の発⽣シグナル-』
これまで本発表会に運営スタッフやミュージアムマイスター審査員として関わってきた経験を活かし、来場者の視点を意識して準備を進めてきた。しかし、実際に発表してみると、想定していた説明と実際の受け取られ方には少なからず差があり、発表を繰り返しながら言葉を言い換えたり説明の順序を工夫したりと内容を組み立て直していくことで徐々に来館者の反応がよくなっていくことを実感できた。この経験を通して、研究内容そのものだけでなく、どのように伝えるかを継続的に検討していく重要性を認識した。
また、来場者の中には私の研究対象である石狩湾小低気圧を既に知っている方や、名称は知らなくとも体感していると話してくださる方もいた。研究対象が市民の実生活の中に位置づけられていることを直接知ることができ、研究の社会的な意義を実感した。
多様な来場者との直接的な対話を通して、研究の伝え方と社会的意義を同時に見つめ直すことができた点に、本発表会の大きな成果があったと考える。
佐藤 英(理学部 地球惑星科学科)
『背中の鎧から探る、太古の北海道のワニの分類と進化』
今回の卒論ポスター発表会には、自身の研究内容を一般の方にも分かりやすく伝えるために改めて整理し直す良い機会になると考え参加した。私の研究はワニの中でもあまり馴染みのない部位に着目したものであったため、実物のイメージを持ってもらえるようなポスター作成や説明の工夫が必要であり、その点で苦労した。当日は、自分の説明が十分に伝わっているのか不安もあったが、発表を重ねるごとに説明の仕方を改善していったことで、次第に来場者の反応や質問の中から研究に興味を示していただていると感じられるようになった。また、質問応答では自分が十分に説明できていなかった点や知識が不足していた点をご指摘いただき、普段の研究の中で理解が曖昧になっている部分や今後の課題を改めて認識することができた。今回の発表会を通じて自身の研究の魅力を再認識するとともに、その魅力を一般の方にどう説明するかを考える有意義な機会となった。
津崎 真拓(理学部 地球惑星科学科)
『成⻑因⼦は乳分泌を促進するのか?』
卒論ポスターの作成や発表で習得した技能は、聴衆の目線に立った内容の調整である。ポスター作成で特に心がけたことは、プロセスの可視化である。私が行った細胞培養やタンパク質解析は、用語からの抽象的な想像は可能だが、具体的な手順が分かりづらいことが多い。そこで、イラストや写真を多用したり、矢印を用いて時系列を示したりすることで、視覚的に理解しやすい内容に仕上げた。また、発表では、聴衆の属性に応じた説明を試みた。例えば、生物学の知識を備える教授や学生には生物の専門用語を多用し、研究結果の厳密な解釈を加えた。一方で、そうでない方には、動物や食生産など、身近なトピックとの関連を強調した。今後同じような機会があれば、これらの方法論を応用していきたい。最後に、本発表会開催にあたって、丁寧なご指導をいただいた北野先生、湯浅先生、中沢先生、小林先生、ならびに運営に携わっていただいた学生スタッフの皆様に感謝を申し上げる。
西川 優嗣(農学部 畜産科学科)
『恐⻯の体型変化 -成⻑と進化がつくる体のバランス-』
本番当日は体調不良により欠席という非常に悔しい結果となったが、中間発表を中心とする準備過程を振り返り、本レポートを執筆する。
中間発表を経て、私は特に「独自性の強調」や「聴衆を惹きつける構成」の改善に注力した。練習を重ねるごとに自身の成長を実感し、表現が洗練されていく過程に大きな喜びを感じることができた。この過程で、自分一人では視野が狭くなっていた部分が多々あることを痛感し、他者からの客観的な意見の重要性と自らの研究を俯瞰して捉える姿勢を深く学ぶことができたのは非常に良い機会であった。
当日は会場に立つことは叶わなかったが、多くの方にポスターを見ていただけたと伺い、数か月の努力が形になったことを実感している。この準備期間で得た、情報を整理し伝える技術や粘り強く内容を磨き上げる姿勢を今後の活動に活かしたいと思う。
最後に、あたたかくご指導くださった先生方、準備くださった運営の皆様に心より感謝申し上げる。
前田 舞(理学部 地球惑星科学科)
『⽇本国内最初の恐⻯発⾒記録︖︕ 北海道⼩平町産ハドロサウルス類にせまる』
今回の卒論ポスター発表会で来館者の方々と相互にやり取りする中で、私が感じたのは「研究は共有する他者がいて初めて成り立つものである」ということである。私は、来館者の方々から頂けるご意見やご質問というのは、私の研究に対する最も客観的かつ根本的な疑問から来るものであると考える。来館者の方々のおかげで、普段からその分野に触れていると忘れてしまうような客観的視点や、当たり前にしてしまっている前提に立ち返ることができ、研究を今一度整理し、見直す機会になったように思う。また、来館者の方々からご質問をいただく部分は重なることが多かった。自分は重要でないとポスターには載せなかったけれど、聴き手が必要としている情報というのは、こういう部分こそ当てはまるのだろうと考えた。このように、発表会を通して来館者の方々に共有したことで、研究はさらにブラッシュアップされたように感じる。今後の研究発表やプレゼンテーションの機会には、今回の経験を思い出し、より明快で魅力的な発表ができるよう努めたい。
村松 祐哉(理学部 地球惑星科学科)
『今、サケ漁地域では何が起きているのか -サケ不漁を⼈々の暮らしから捉え直す-』
自分の研究結果を客観視する良い機会となった。通常、卒業研究の発表の場は研究室内のみであり、フィードバックをもらえるのは研究分野の知識や前提を共有している人たちからのみになる。しかし、今回博物館の企画として、学内外からの様々な属性の方々にポスター発表を聞いていただいたお陰で、私の研究が他の分野と比べて魅力的な点や分かりにくい点などが明らかになった。特に、聞き取り調査をベースとする研究は、客観性や普遍性がどう評価できるのかという質問が多く、私自身も自信を持って答えられなかったのは大きな反省点である。今後も今回得られたフィードバックを忘れずに、自分の研究がどのようにすれば分かりやすく伝えられ、効果を納得してもらえるのかを考えていきたい。最後に、本発表会を企画・運営してくださった先生方と運営スタッフの皆さん、そしてご来場頂いた皆様に感謝申し上げます。
藪田 希紅(文学部)
『海洋でワニはどう息づいたか』
今回の発表会を踏まえて、ポスターの視覚的な側面と、実際の来館者とのやり取りという2つの側面から考察を行う。
前者について、私の発表を聞いてくださった方は軒並みポスター前の椅子に座られており、背後から立ち見された方はほぼ見受けられなかった。これについて、配色を揃えたのはよいが、図の核心が一目で分かりづらいという視覚的要因は否めないと思う。統計的分析の出力であるため致し方ない部分もあるが、主張したいポイントだけを抽出したキャッチーな図に作りかえてもよかったのではないかと考えた。また、遠目から視認できるクリティカルな研究のアイコン/キーワードがなかった部分も反省点である。
後者について、博物館は一般に開かれた学習の機会であり、自由に学びを見出せる場所だということを前提に、博物館側の人間も常に来館者から学ぶ姿勢を心がけることの重要性を強調したい。今回は発表者という、ある種ホスト側の立場で博物館に携わらせて頂いたが、古生物学の研究に物理の視点から鋭いご指摘を頂戴した。様々な学びの詰まった施設だからこそ、思考が一辺倒にならないよう、他分野からのフィードバックを取りこぼさないことが重要ではないだろうか。
吉田 修(理学部 地球惑星科学科)
<運営学生の事後考察>
私は、主にポスター作成と会場配置を担当した。まず、ポスター作製に関して、文章、図等は2023、24年度の文面を踏襲しながらも、写真に関しては、フリー素材を使用せず、今年度の運営スタッフ全員で北大総合博物館や学内の農場において撮影した写真、発表者の提出写真を使用したことで、北大らしさ、オリジナリティを出すことができたと考えている。
また、会場配置に関して、予定では、発表者が7名と比較的多い人数であったため、発表する際の声の反響や重なりで、発表が聞き取りづらい懸念があったため、各ブースの向きや間隔を図面上や前日準備等で微調整を行いながら配置した。さらに、前記の懸念対策や、発表者の休憩時間確保、を目的として、偶数/奇数番で交代制のコアタイム案を用意したが、1日目途中から形骸化していたため、2日目からは廃止した。結果的には、6名(1名欠席)それぞれのバランスが取れた発表会となっていたと感じている。
運営スタッフが4人と少ない人数ながら、特に大きな問題もなく準備、本番を迎えられたため、及第点以上の運営ができたと自負している。
市川 優太(文学院 修士課程1年)
私はミュージアムが好きな理由として、「非日常的な空間で知的好奇心を満たすことができるから」と答えることが多い。知るという行為そのものが好きであり、ミュージアムは好きで溢れた素敵な空間なのである。今回運営に参加したきっかけも、さまざまな分野の卒業研究発表に間近で関わってみたいという、単純な好奇心からであった。
実際に運営を経験する中で、新しく知ることの楽しさを改めて実感しただけでなく、発表者との対話を通じて、自身の研究がどのように受け入れられていのるかを認識することの大切さや、一度インプットした専門的な内容を、より一般向けに分かりやすくアウトプットし直すことの難しさを学んだ。さらに、専門も学年も異なる学生4人が、全員運営初心者という同じ立場に立って作業を行ったことも、なかなか得難い経験であった。
閉じられがちな研究を身近に感じ、さまざまな分野に触れて学ぶことができる本発表会は、北大の特性を存分に生かした非常に素敵な取り組みであり、既に来年度の開催が楽しみである。
鎌田 歩果(保健科学院 修士課程1年)
私は運営スタッフとして、主に当日来館者に配布するリーフレットの作成を担当した。始めは過去のものを参考にすれば良いだろうと楽観的に考えていたが、作成が進むにつれ、詳細が分からず確認しなければならない点、修正を加えなければならない点などが多数あり、想像していた以上に労力と時間を要した。特に、先生方や共同で作成していた運営スタッフとのコミュニケーションの重要性は最も実感したことであった。自分が何を考えて、何を参考にして文面やデザインを考えたかということを伝えてから、相手の意見も聞き、互いの意見を擦り合わせるという過程の難しさと同時に、それによって紙面ができあがっていくことへの達成感も同時に感じることができた。完成したリーフレットの表紙のデザインには特に多くの好評をいただき、手に取って、発表会を知ってもらうきっかけとなれたかもしれないと思うと、作成者としての役割を果たせたように思え、大変嬉しかった。わずか2日間の発表会だったが、長期間にわたる多くの方々のご協力と運営スタッフという仲間との連携があってこその成功だったと感じる。今回学んだことをこれからの私の人生に活かし、新しいことにチャレンジするきっかけとしていきたい。
三﨑 優香(水産学部 学士課程2年)
私は、今回卒論ポスター発表会に運営スタッフとして携わり、主に広報ポスターの制作を担当した。広報ポスターを制作する中で、特にデザインに苦戦した。載せないといけない情報は決まっている中で、どのようにしたら見やすく伝わりやすくなるかを工夫するのが難しかった。また、今回は運営スタッフ全員が発表会に携わるのが初めてということもあり、リーフレットの印刷部数など勝手が分からないこともあって大変な面もあった。しかし、実際に研究を行った学部4年生の発表を間近で聞けて、好きなだけ質問できるという貴重な体験ができた。何よりも、発表会当日に来場者が発表会を楽しんでいる様子や、来場者アンケートのコメントを見たときに、多くの方に楽しんでいただける発表会を運営することができて良かったと思った。また、「クジラの化石展」の展示解説で知り合った中学生も来てくれて、博物館のおかげで普段は関わらない層の方々ともつながることができたことも嬉しかった。今後もこのような貴重な機会を逃さないために、様々な活動に参加していこうと思う。
三好 礼人(総合教育部理系 1年)
