【セミナー報告】「深海魚場開発調査で得られた魚類〜インドネシア沖インド洋〜」

タイトル:「深海魚場開発調査で得られた魚類〜インドネシア沖インド洋〜」

講師:河合 俊郎(北海道大学総合博物館 助教)

日時:2015年10月10日(土)13:30〜15:00

会場:北海道大学 人文・社会科学総合研究棟1F 6番教室

講演内容

今年度4回目となる土曜市民セミナーは、総合博物館が休館中にも係わらず、81名もの方々にご参加いただきました。今回のセミナーでは、小さなお子様が多くご参加され、年齢によらず人々を惹き付ける深海魚の魅力がうかがえました。

講演では、講師の河合俊郎先生よりインドネシア沖インド洋の漁場開発調査で採集された魚類から、先生の専門分野である「キホウボウ」という魚の分類につい ての研究状況まで、解説を頂きました。また、キホウボウの分類研究を基に、種の分類をする際には、分類・同定に用いることのできる形質を捉える必要があ り、新種だと判断する場合、既に発見されている他種のタイプ標本の形質と比較して慎重に検討することが重要であることも語られました。

インドネシア沖で採集された深海魚についての説明では、魚の味や航海の思い出などを交えた河合先生の親しみやすいご説明により、参加者の方々も楽しげに解 説を聞いていらっしゃいました。また、魚場開発調査の様子や活発に活動する深海魚の映像を見て、参加者の方々から歓声が上がる場面もありました。

講演終了後の質問コーナーでは、「“属名+sp.”と記載されているもののように、学名がまだ付けられていない生物を命名する場合にルールなどはあるの か」という質問が挙がりました。その質問に対し、河合先生は、「国際動物命名規約というルールに則り発見者が命名するが、発見者自身の名前を付けることは あまり無く、魚の特徴や採集地などを名前に使用することが多いです」とご回答下さいました。この他にも数多くの質問が寄せられ、先生は一つ一つの質問に対 して丁寧に対応して下さいました。

セミナー終了後には、深海魚の標本に触れる時間を設けました。ある方は恐々と、またある方は興味津々といった様子で標本に触れ、その感触を楽しまれていま した。実際に深海魚の標本に触れるという貴重な体験の後、興奮冷めやらぬ雰囲気のまま、今回のセミナーは幕を閉じました。

(薬学部2年 川名桃子)

 

   

魚類標本を手に、説明する河合先生               多くの参加者が集まった標本コーナー