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活動報告

 

昆虫・甲虫パラタクソノミスト養成講座(中級)

 

(1)実施機関

北海道大学

(2)日時・場所

2013年2月16日(土曜日)10:00~17:00 ~ 2月17日(日曜日)9:00~17:00 

北海道大学総合博物館 共同研究室

(3)参加者数

12人

(4)活動概要

1日目
10:00~10:10 開講の挨拶、講師と参加生の自己紹介、スケジュールの確認、諸注意の説明
10:10~12:00 作業手順と同定作業(ゴール1:80%の科を同定する方法)の説明
            コウチュウ目の「科」までの同定を行うために、
            4段階の目標設定(ゴール1〜4)について説明した。
            そしてゴール1達成のために、資料写真と実物の体形を見比べる「絵合わせ」作業を開始した。
12:00~13:00 昼食
13:00~14:00 同定作業(ゴール2:90%の科を同定)の説明
            分類上重要な部位(触角,ふ節など)について資料を用いて説明した。
14:00~14:30 各論講義1(箕島講師:食肉亜目と水生甲虫類の主要グループについての講義)
14:30~16:00 ゴール2のための同定作業を継続した。

2日目
10:00~12:00 同定作業(ゴール3:95%の科を同定)の説明
            検索表の使い方について説明したのち、特に重要な形質について例を挙げて示した。
12:00~13:00 昼食
13:00~13:30 収蔵庫の見学
13:30~14:30 同定作業(ゴール3)のつづき
14:30~15:00 各論講義2(古川講師:ゴミムシダマシ上科の主要な科についての講義)
15:00~15:30 同定作業(ゴール4:100%の科を同定)の説明
            専門家への同定依頼の方法と注意点について説明した。
15:30~15:45 展示の見学、記念撮影
            常設展示の甲虫標本の見学では、標本で見ることの出来なかった分類群について形態を観察した。
15:45~15:55 片付け
15:55~16:00 修了式

(5)参加者の声

 コウチュウ目は昆虫の中でも特に多様であり、日本産だけで100に近い数の科の同定技術を短期間で習得することは困難である。従って本講座では、全ての知識を与えることよりも、むしろ同定の「手順」を効果的に教えることによって、本講座修了後に参加者が自力で同定していく力をつけることに重点が置かれた。参加者の多くは専門的な生物学教育を受けた者か、または本講座の初級などを受講した経験者であったため、こうした方法論の有効性を理解してくれたように思われる。
実際に、まず「絵合わせ」という一見大雑把にみえる方法を実践していく過程で、参加者たちは講師のわずかな助言を得ることで一日に数十個体もの標本を同定していくという体験をした。そうした基礎力を得た後で、より高度な手法(検索表の使用法や、専門用語の修得)を学んだため、参加者は時間を重ねるごとに少しずつ自信を深めていったように見受けられた。
 今後危惧される問題としては、これまでは潤沢にあった未整理の甲虫標本が本館では枯渇しつつあることで、これまでと同様に未整理標本を本講座で整理する、という方法に修正を加える必要があるかもしれない。これについては、例えば小樽で開講された本講座(セミ・カメムシ目)で山本学芸員が行ったように、整理された標本の中から教材に適したものを抜き出して使用すれば、収蔵の状況に影響されず持続的に標本資料を提供しつづけられるものと思われる。

 

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