1-3-5-2 ヒラタエンマムシ族 Hololeptini

 一般に扁平な体つきと大顎が前方へ向いていること(頭が体に水平に位置)で見分けられる.7属約140種を含む.このうちHololepta属が約120種を含み全世界に分布している.それ以外の属は中南米に限り分布している.日本からは1属3種が知られる.樹皮下に生息し,樹液にもよく集まる.頭が体にたいして水平に位置するため,古くは,祖先的なグループとみなされ独立の亜科に扱われた.しかし,頭の位置については樹皮下生活にたいする適応と考えられ,垂直な位置から再び水平に戻ったとみなされている.


ヒラタエンマムシ属 Hololepta Paykull, 1811

 HololeptaとLeionotaの2亜属に分類される.前者は約80種が知られ,後者は40種ほどが新大陸から知られる.日本産については私が再記載をしている(Ohara, 1991a, b).

1(4) 前尾節に筋はない. 

2(3) 体長は大きく,7.3 - 8.7 mm.前胸腹板ののど板前縁は前方外側へ弓状となる. ........... オオヒラタエンマムシ

3(2) 体長は小さく,5.7 - 7.0 mm.前胸腹板ののど板前縁は外側へ突出せず内側へゆるやかに弓状にへこむ. ........... ヒラタエンマムシ

4(1) 前尾節に筋をもつ.前胸腹板ののど板前縁は裁断状............ ヒゴヒラタエンマムシ


オオヒラタエンマムシ(図3AB) Hololepta amurensis Reitter, 1879

 図説N: 69; 図説H: 230; 林, 1985: pl. 12 [幼虫]; Ohara, 1991a: 103 [再記載].

 北海道ではハルニレの樹液などに普通.分布:北海道,本州,四国,九州,佐渡,伊豆諸島,対馬,屋久島.ロシア(東シベリア,沿海州).朝鮮半島.台湾.中国.

ヒラタエンマムシ(図3C) Hololepta depressa Lewis, 1884

 図説N: 69; 図説H: 230; Ohara, 1991b: 235 [再記載].

 分布:北海道,本州,四国,九州.台湾.

ヒゴヒラタエンマムシ(図3D) Hololepta higoniae Lewis, 1894

 図説N: 69; 図説H: 230; Ohara, 1991b: 238 [再記載].

 きわめて稀.分布:本州,九州.台湾.ラオス.ベトナム.中国(雲南).


日本産エンマムシ上科概説エンマムシ科/エンマムシ亜科